ホテル業界でSNS活用が広がる背景とは?旅行者の情報収集の変化を読み解く
ホテル業界でSNS活用が急速に広がる背景には、旅行者の情報収集行動の変化があります。検索エンジン中心の時代から、SNSで宿を探す時代へのシフトが進んでいるためです。
私自身もホテル業界のご担当者からは、「最近はインスタで宿を探す世代が増えた」という声を本当によく耳にします。データを見ると、この変化はもはや一時的な流行ではありません。
旅行者の情報収集はSNSへどの程度シフトしているのか
旅行情報を集めるツールとして、SNSを使う層が大きく拡大しています。
じゃらんリサーチセンターの調査では、Z世代の情報収集ツールはSNSが69.8%で最多でした(参照)。
総務省「情報通信白書」のデータでも、同じ傾向が確認されています。クロス・マーケティングの分析では、「検索エンジンからSNS検索へ大きく変化」と指摘されました(参照)。
つまりこれからの旅行検討層を取り込むには、検索エンジン対策だけでは届きません。
購買決定に最も影響を与えるSNSはどれか
宿泊予約のような「購入行動」につながりやすいSNSも、データから見えてきています。
Standard Insightsの調査では、購買決定に最も影響を与えるツールはInstagramが16.6%でトップでした。Google検索の14.8%を上回る結果です(参照)。
Meta社の公式発表によれば、Instagramの国内MAUは2019年時点で3,300万人を超えています(参照)。直近の推計では約6,600万人にまで拡大したとみられています。
ホテル予約においても、リール動画やUGCが「行きたい」と思わせる決め手になっています。そんなご相談を頻繁にいただきます。
OTA依存から脱却する「直接予約」獲得の重要性
ホテル業界でSNS活用が経営課題に直結するもうひとつの理由が、OTA手数料の負担です。
多くのホテルは、楽天トラベルやBooking.comなどのOTA経由予約に10〜15%程度の手数料を支払っています。利益率を高めるには、自社サイト経由の直接予約をいかに増やすかが鍵になります。
ここでSNSが力を発揮します。SNSでブランドを認知してもらい公式サイトへ誘導できれば、手数料を抑えた直接予約に切り替えやすくなります。
後述のLINEのホテル成功事例で紹介する町家ホテル「Nazuna」も、LINE先行予約で自社予約比率を高めています。その結果、3年間で大幅な収益改善を実現しました。
小規模ホテルや地方旅館もSNS活用は無関係ではない
「うちは小規模だから関係ない」と感じる方もいらっしゃいます。お気持ちはよく分かりますが、地方の小規模ホテルこそSNSの恩恵を受けやすい立場にあります。
広告予算を大きく取れない事業者でも、SNSなら無料で全国の旅行検討層にリーチできます。本記事の事例でも、沖縄の小規模ホテルが赤字状態からSNS発信のみで再建を果たしています。
背景を理解したうえで、自社に合う媒体から着実に取り組んでいきましょう。
InstagramのホテルSNS成功事例|視覚重視で世界観を伝える
Instagramはホテル業界と最も相性が良いSNSのひとつです。視覚的に訴求できる写真やリールは、客室の雰囲気、シェフこだわりの料理、窓からの絶景といった「体験価値」を直感的に伝えることができます。旅行者は予約前に「滞在イメージ」を確認したい傾向が強く、ストーリー性のある投稿はエンゲージメントを高める大きな武器となります。
成功事例

- コンラッド大阪では、シェフが牡蠣を調理する「カキフライバーガー」のリールを投稿。ライブ感あふれる映像が食欲を刺激し、来店・宿泊予約の増加につながりました。
- ラグジュアリーホテルでは「#朝食リール」を活用。豪華な朝食シーンを短尺動画で切り取り、非フォロワー層にも拡散。エンゲージメント率の向上を実現しました。
- 地方温泉旅館は若年層に向けてリールを中心に投稿。さらにインフルエンサーと提携して宿泊体験を発信したことで、フォロワー層を拡大し、予約件数も増加しました。
ポイント
- 短尺動画で体験を表現:料理が出来上がる過程や客室からの風景を15〜30秒の動画に凝縮することで、スクロールを止めてもらいやすくなる。
- ハッシュタグ戦略:#ホテルステイ #旅行好き などの汎用タグを組み合わせ、旅行検討層にリーチ。
- UGC(宿泊者投稿)の活用:ゲストが投稿した写真や動画を公式アカウントでリポスト。信頼感を高め、予約導線へスムーズにつなげられる。ある旅館ではUGCを取り入れたことで、4ヶ月でフォロワー数が7倍、公式サイト流入は7.5倍に増加した事例もあります。
InstagramのホテルSNS成功事例から学べるのは、単なる美しい写真投稿ではなく、体験の疑似体験化とUGCの活用こそが予約につながるポイントだということです。
TikTokのホテルSNS成功事例|短尺動画で若年層を引き込む
TikTokは今や若年層にとっての旅行リサーチツールです。宿泊先選びの際、公式サイトや旅行代理店よりも、実際の滞在イメージを短尺動画で確認するZ世代が増加しています。編集の凝った動画よりも、シンプルに雰囲気を伝える映像が好まれ、拡散されやすいのが特徴です。ホテルSNS成功事例を見ても、TikTok活用は新規顧客層の獲得に大きな効果を発揮しています。
成功事例
@4610_hotel
#沖縄 #ホテル
♬ オリジナル楽曲 – ど素人ホテル再建計画 – ど素人ホテル再建計画 @沖縄県恩納村
- 都市型ホテルでは、スタッフの日常や「1泊2日のモデルプラン」を紹介する動画がバズ。ユーザーが滞在を疑似体験できることで、宿泊予約に直結しました。
- 地方リゾートホテルは「映えるスポット紹介」を中心に発信し、Z世代の旅行先候補として認知を拡大。若年層からの予約数が増加しました。
- 飲食業の事例だが応用可能な成功例として「笑わなかったら無料」の焼肉屋は芸人とコラボし、動画は113万再生を記録。総フォロワー550万人超のインフルエンサーが自発的に来店し話題化しました。ホテルでも“意外性のある体験”を打ち出すことで同様の効果が期待できます。
- 赤字ホテルの再建事例では、経営再建の過程をそのまま発信する「プロセスエコノミー」を活用。ある投稿は57万再生を突破し、約2,000人の集客を実現しました。SNSの発信力がダイレクトに経営改善につながった典型的なホテルSNS成功事例です。
ポイント
- UGCコラボ:宿泊者やインフルエンサーとのコラボ投稿で自然な拡散を狙う。
- バズコンセプトの設計:意外性のある体験、ユニークなプラン、スタッフの個性を前面に出すことで視聴維持率を高め、アルゴリズムに乗りやすくなる。
- インバウンド対策:中国版TikTok(抖音)を含む海外向け運用で、訪日観光客への認知拡大と予約促進も可能。
TikTokのホテルSNS成功事例からわかるのは、Z世代の共感を呼ぶ「等身大の体験発信」と、拡散力を意識した企画設計が成功の鍵だということです。
X(旧Twitter)は即時性に優れ、空室状況やキャンペーン情報をその瞬間に届けられるSNSです。旅行や宿泊の検討段階で「今空いているか」を知りたいユーザーに対し、タイムリーな投稿は予約行動を後押しします。また、ハッシュタグを活用することで、フォロワー以外の旅行検討層へも効果的にリーチできます。
成功事例

- ビジネスホテルでは「空室速報」をポスト。シンプルな投稿ながら当日予約の増加に直結しました。
- 高級ホテルは季節イベントの裏側を写真や動画で実況。ブランドの世界観を強化し、顧客ロイヤリティを高めました。
- 「ど素人ホテル再建計画」では、あえて赤字経営をネタにして発信。プロセスを公開し続けることで1週間で2万人のフォロワーを獲得し、協賛や予約を集め黒字化に成功しました。
- 廃墟ホテルの再生プロジェクトでは、再建の過程を丁寧に発信する「プロセスエコノミー」を実践。ユーザーが「応援したい」と感じるストーリー設計により、ファンが増加。結果としてYouTube連動で銀の盾を獲得するほどの人気コンテンツへ成長しました。
ポイント
- 投稿頻度を高める:1日数回の小さな発信を継続し、ユーザーとの接触頻度を増やす。
- 写真付きで親近感を演出:客室、食事、スタッフの様子などを添えることで投稿が埋もれにくくなる。
- ハッシュタグ活用:#旅行好きと繋がりたい などの人気タグで、旅行検討層への露出を拡大。
- 非ターゲット層も引き込む工夫:遠方ユーザーでも楽しめる「ユニークなキャッチコピー」やストーリーを加えると、意外な拡散が生まれ再生数が跳ね上がるケースもあります。
XのホテルSNS成功事例に共通するのは、「リアルタイム性」と「人間味のある発信」です。速報性を武器にしながら、日々の運営ストーリーを発信することで、宿泊検討者だけでなく「応援したくなるファン層」を育てることが可能になります。
YouTubeのホテルSNS成功事例|長尺で滞在体験を深掘り
YouTubeは、ホテルの魅力を長尺コンテンツで深掘りして伝えられる唯一のSNSです。特にVlog形式の動画は、客室の雰囲気や滞在中の過ごし方をリアルに体験でき、海外旅行客やファミリー層の予約検討を後押しします。さらに、検索流入が多いプラットフォームのため、動画は長期的に視聴されるストック資産となり、持続的に集客効果を生みます。
成功事例
- 外資系ホテルでは、ルームツアー動画を投稿。部屋の広さや設備を詳細に見せることで海外ユーザーからの予約が増加しました。
- 地方リゾートホテルは滞在Vlogを公開。チェックインから食事、アクティビティまでの流れをまとめ、ファミリー層の予約増につながりました。
- STAR RESORTは観光案内や宿泊プランの提案を動画で展開。結果としてフォロワーが8倍に増加し、直販率も40%を超える成果を上げています。
- プロセスエコノミー型の発信も注目されます。「痩せる社長」や「ホテル再建ドキュメンタリー」など、ストーリー性を前面に出した動画がバズり、わずか2ヶ月で10万人登録を突破した事例もあります。
ポイント
- 宿泊者目線での映像化:チェックインから食事、館内アクティビティ、チェックアウトまでの体験を映像化することで、疑似体験が可能に。
- ショート版を展開:長尺動画を要約したショート版を作成し、InstagramリールやTikTokに展開することで拡散効果を高める。
- 検索性を意識した長編制作:YouTubeは検索流入が多いため、「ホテル名+宿泊記」「地域名+ホテル紹介」などで長期的に再生されるストックコンテンツを意識する。
YouTubeのホテルSNS成功事例に共通するのは、リアルな滞在体験を物語として届けることです。映像を通じて「泊まってみたい」と感じさせることで、予約数の増加とブランド力の向上を同時に実現できます。
LINE公式アカウントのホテルSNS成功事例|リピーター育成に特化
ホテルSNS運用の中でも、LINE公式アカウントは予約導線の強化とリピーター育成に特化した媒体です。InstagramやTikTokが新規顧客獲得に強みを持つのに対し、LINEは「直接予約を増やす」「再来訪を促す」場として活用できます。
成功事例
- ビジネスホテルでは、宿泊者に向けてクーポンを定期配信。次回利用につながり、稼働率アップを実現しました。
- 高級リゾートホテルは会員限定プランをLINEで案内。OTA経由ではなく直接予約を獲得し、利益率を高めています。
- Nazuna(町家ホテルブランド)は、SNSフォロワー向けにLINE先行予約を実施。自社予約比率を高め、3年間で大幅な収益改善を実現しました。
- セグメント配信の活用により、月2〜4回の情報発信でも無駄を避け、特定顧客層に適切なプランを届けた結果、予約枠が即完売した事例もあります。
ポイント
- 問い合わせ導線をスムーズに:LINEのチャット機能を活用し、宿泊プランや空室状況を簡単に確認できる環境を整える。
- リピーター向け限定情報:会員限定プランや特典を発信し、常連客を「ファン」として育成する。これにより、長期的に安定した売上基盤を確保できる。
LINEのホテルSNS成功事例に共通しているのは、「新規獲得」よりも「再来訪促進」や「直接予約比率の向上」に効果を発揮する点です。リピーター施策をLINEで戦略的に組み込むことで、ホテルの収益構造を強化することができます。
ホテルSNS成功事例から学ぶ共通の運用術
各SNSの成功事例を振り返ると、媒体ごとに戦略は異なりますが、共通する成功要因がいくつか浮かび上がります。これらを押さえることで、どの規模のホテルでも再現性の高い成果を出すことが可能です。
1. 体験価値を写真・動画で集中発信
ホテルSNS成功事例に共通するのは、「体験」を疑似的に提供するコンテンツです。客室や食事、景観を美しく撮影するだけでなく、「無料宿泊体験」「特典付きプラン紹介」といったバズを狙った企画でUGC(ユーザー生成コンテンツ)を促進。ユーザー自身が自然に投稿する流れをつくることで、拡散力は何倍にも高まります。
2. 媒体特性に合わせた最適化
- Instagram:写真とリールで視覚的な世界観を表現。
- TikTok:短尺動画で若年層を引き込み、滞在イメージを拡散。
- X(旧Twitter):即時性を活かしてキャンペーンや空室速報を発信。
媒体の特性を理解し、同じ素材でも表現方法を変えることがホテルSNS成功事例の鉄則です。
3. UGCと口コミの活用
宿泊者による投稿や口コミは最も信頼性の高いコンテンツです。ホテルSNS成功事例の多くが、#ハッシュタグキャンペーンを通じてUGCを集め、公式アカウントでシェアしています。結果として「リアルな声」が拡散し、信頼性と集客力の両立につながっています。
4. キャンペーン導線を明確化
SNS上でバズを起こしても、予約に直結しなければ意味がありません。無料宿泊券やポイント付与など、明確なキャンペーン導線を設計することで「気になる」から「予約する」への移行がスムーズになります。
5. 継続的な分析と改善サイクル
SNS運用は短期施策では成果が出にくい分野です。初期設計を専門家に委託し、定期的に壁打ちや分析を行うホテルSNS成功事例は、改善サイクルを回しながら安定的な成果を上げています。
6. プロセスエコノミーでファンを巻き込む
近年注目されているのが「プロセスエコノミー」の活用です。ホテルの再建過程や裏側を発信することで、ユーザーが応援者=ファンへと変化。実際に地方ホテルでも「初投稿が57万再生」というケースがあり、ストーリー性のある発信は規模を問わず大きな集客力を生み出します。
ホテルSNS成功事例から導かれる共通の教訓は、「体験価値を軸に、媒体特性を活かし、ファンを巻き込みながら改善を続けること」です。この運用術を押さえれば、都市部の大型ホテルはもちろん、地方の小規模宿泊施設でも成果を出すことができます。
ホテルのSNS運用で陥りやすい失敗パターンと回避策は?
ホテルのSNS運用で陥りやすい失敗パターンは、媒体選定・継続運用・効果測定・導線設計の4つに集約されます。成功事例と同じくらい、失敗の構造を知ることが成果への近道です。
実際にご相談をいただくホテル様には、共通のお悩みがあります。「半年やってフォロワーが増えない」「投稿しても予約につながらない」、そんな声を頻繁にいただきます。原因をひもといていくと、共通するつまずきポイントが見えてきます。
失敗パターン1:ターゲットと媒体特性のミスマッチ
最も多い失敗が、自社のターゲット層とSNS媒体のミスマッチです。
たとえば50代以上の富裕層を狙う高級旅館がTikTokに注力しても、なかなか予約には結びつきません。一方で20代の女性旅行者を取り込みたいのにFacebook中心で発信していても、機会損失が大きくなります。
DataReportalの2024年調査によると、Instagram利用者は女性58.4%、男性41.6%です(参照)。媒体ごとのユーザー属性を把握したうえで、注力チャネルを選びましょう。
回避策:ペルソナを明確にしたうえで、媒体別の年代・性別構成データをもとに選定する。最初は1〜2媒体に絞り、軌道に乗ってから拡張するのが安全です。
失敗パターン2:投稿が続かず属人化してしまう
「最初は頑張ったけれど、3ヶ月で更新が止まった」、そんなケースもよくお聞きします。
ホテル業界は繁忙期・閑散期の差が大きく、担当者の業務も多岐にわたります。SNS運用が特定スタッフの個人スキルに依存していると、退職や異動で一気に止まってしまいます。
回避策:運用フローを仕組み化することです。具体的には、撮影スケジュール・投稿カレンダー・テンプレート・承認フローをドキュメント化します。担当者が変わっても引き継げる体制をつくることが大切です。
失敗パターン3:効果測定をせず感覚で運用してしまう
「いいね数しか見ていない」、そんなご相談も少なくありません。
ホテルSNSの本来のゴールは予約・直接来館・リピート増加です。Instagramのインサイトでは、リーチ・保存数・プロフィールアクセスを確認しましょう。X(旧Twitter)のアナリティクスでは、インプレッションとリンククリックを毎週追います。
回避策:月次の振り返り会議を設定するのが効果的です。最低限「保存数」「プロフィール遷移率」「サイト誘導クリック」の3指標を追えば、何が予約に効いているかが見えてきます。
失敗パターン4:予約への導線が設計されていない
SNSが伸びても、予約サイトへの導線が弱いと売上にはつながりません。
たとえばInstagramのプロフィールURLが公式トップページのままだったとします。その場合、ユーザーは「どの宿泊プランを見ればよいか」迷ってしまいます。リンクをタップしてから3クリック以内に予約フォームへ到達できる設計が理想です。
回避策:リンクツール(リンクインバイオ等)の活用です。「直近の特集プラン」「LINE登録」「資料請求」など、複数の目的別ボタンを用意します。ストーリーズハイライトに予約ステップをまとめておくと、検討中のユーザーの離脱を防げます。
失敗パターン5:施設情報の羅列で「体験」が見えない
「客室○○㎡、Wi-Fi完備、駅から徒歩5分」だけの機能訴求で終わる投稿も、よく見かけます。
旅行者がSNSで知りたいのは、「ここに泊まったら自分はどんな時間を過ごせるのか」、つまり体験のイメージです。スペック情報だけでは、競合との差別化は難しくなります。
回避策:「滞在シーンの切り取り」を意識した投稿への転換です。朝日の差し込む客室、湯気の立つ朝食、ロビーで読書するゲストの後ろ姿。温度感のあるカットを意識的に増やしましょう。
本記事のInstagramのホテルSNS成功事例でも、五感に訴える表現が成果を生んでいます。「カキフライバーガーのライブ感ある調理動画」のように、体験を切り取った演出が予約増のきっかけになっています。
ホテルがSNS運用を始める手順は?導入から成果までの5ステップ
ホテルがSNS運用を始める手順は、5つのステップで進めるのが王道です。「目的設計→媒体選定→コンテンツ設計→運用と測定→改善とスケール」の順に取り組むことで、成果までの最短ルートを描けます。
「とりあえず投稿を始めてみたけれど、迷子になってしまった」、そんなお声をホテル業界からは特に多くいただきます。最初に流れを把握しておくと、つまずきにくくなります。
ステップ1:SNS運用の目的とKPIを明確にする
最初の一歩は、運用の目的を1〜2つに絞ることです。
ホテルSNSの目的は大きく「新規予約獲得」「ブランド認知向上」「リピーター育成」「直接予約比率の向上」に分かれます。複数を同時に追うとリソースが分散し、結局どれも中途半端になりがちです。
設定例
- 目的:直接予約比率の引き上げ
- KGI:直接予約比率を半年で15%→25%へ
- KPI:Instagram保存数200/月、プロフィール遷移1,000/月、サイト誘導クリック300/月
数字が苦手な方も、「保存数」「プロフィール遷移」「サイト誘導クリック」の3つから始めれば大丈夫です。経営層と共通言語で会話できる状態をつくることが、後の運用継続を支えます。
ステップ2:媒体を選んでアカウント基盤を整える
次に、ターゲットに合った媒体を選んでアカウント設計を行います。
総務省「令和6年度 情報通信メディア調査」によると、Instagramの全体利用率は52.6%でした。20代の利用率は70%超に達しています(参照)。若年層を狙うならInstagramとTikTok、ビジネス層を狙うならX、リピーター育成にはLINEが軸になります。
アカウント基盤の整え方
- プロフィール:施設名・特徴・所在地・予約導線リンクを30秒で伝わる構成に
- ビジネスアカウント化:Instagram・TikTokはインサイト取得のため必須
- 統一ビジュアル:アイコン・ハイライトカバー・投稿の色味を揃える
Instagramの場合、Meta社が提供する「プロフェッショナルダッシュボード」を有効化するとインサイトを確認できます(参照)。最初に基盤を整えるかどうかで、3ヶ月後の伸び方が大きく変わります。
ステップ3:コンテンツ企画と撮影ルールを決める
「何を投稿すればいいか分からない」、そんなお悩みは企画設計で解消できます。
ホテルSNSのコンテンツは、以下の3層構造で考えると整理しやすくなります。
- 看板コンテンツ:客室・料理・絶景など、施設の魅力を凝縮した投稿(月4本)
- 体験コンテンツ:スタッフのこだわり、季節イベント、滞在シーン(月4〜8本)
- 時事・UGCコンテンツ:空室速報、ゲストのリポスト、地域イベント連動(随時)
撮影ルールは「いつ・誰が・何を撮るか」を簡易フォーマットで決めるだけで構いません。最初から完璧を目指さなくて大丈夫です。1ヶ月分の撮影リストをつくっておくと、繁忙期でも投稿が途切れにくくなります。
ステップ4:投稿運用と効果測定を月次サイクルで回す
運用開始後は、月次サイクルで「投稿→測定→振り返り」を回します。
おすすめの月次運用フローは以下のとおりです。
- 第1週:先月実績の振り返り会議(30分)/今月のテーマ決め
- 第2〜3週:投稿・コメント対応・UGCリポスト
- 第4週:撮影日/翌月の投稿ストックを2週間分作成
効果測定では、以下3つの数字を毎週見る習慣をつけましょう。
- 保存数(後で見返したいと思われた指標)
- プロフィール遷移率(興味を持って深掘りされた指標)
- サイト誘導クリック数(予約検討に進んだ指標)
数字が伸び悩むときは、ひとつの指標だけ取り出して原因を切り分けます。「いいねは多いのに保存が伸びない」なら、滞在のイメージを補強する内容に振り替えてみる方法もあります。
ステップ5:改善とスケール|内製・外注・併用の判断軸
3〜6ヶ月運用すると、伸びる投稿の型と苦戦する型が見えてきます。
ここからが本番です。型を再現しながらコンテンツ本数を増やし、媒体横断の展開へとスケールさせていきます。たとえばInstagramでヒットしたリールを、TikTokやYouTubeショートに転用する方法があります。これだけで制作コストを大きく抑えられます。
内製・外注・併用の判断軸
- 内製:自社で完結したい/長期的に資産化したい場合に有効
- 外注:短期で成果を出したい/専門ノウハウを補いたい場合に有効
- 併用(内製化支援):内部にノウハウを蓄積しながら走り出したい場合に有効
判断に迷ったときは、3ヶ月後・6ヶ月後・1年後の理想状態を描いてから決めると失敗しにくくなります。SNSCHOOLでは内製化を前提とした伴走支援を提供しているので、社内に知見を残したい方は選択肢のひとつになります。
→ホテル業界向けの成功事例集を無料でダウンロード
5ステップを通じて意識したいこと
ご紹介した5ステップは、規模や予算によって走るスピードを調整して構いません。大切なのは、目的を見失わずに小さなサイクルを回し続けることです。
最初から完璧を目指さなくて大丈夫です。「STEP1の目的設計だけ今月決める」など、まず一歩を踏み出すところから始めていきましょう。
ホテルのSNS運用に関するよくある質問
ホテル業界のご担当者からよくいただくご質問を、5つにまとめました。記事本編で触れきれなかった「費用」「期間」「媒体選び」「内製・外注」「規模別の成果」について、田中千晶からお答えします。
Q1. ホテルのSNS運用にかかる費用相場はどれくらいですか?
ホテルのSNS運用代行費用は月額10万〜50万円が一般的な相場です。投稿のみの最低限プランなら5〜10万円、戦略設計と分析を含むと20〜50万円が目安になります。内製化支援サービスでは月5万円程度から始められる場合もあります。
Q2. ホテルのSNS運用で成果が出るまでの期間はどれくらいですか?
フォロワー増や認知拡大は3ヶ月程度、予約数や直接予約比率への効果は6ヶ月〜1年程度を見ておくのが現実的です。短期で結果を求めず、月次サイクルで改善を続けることが成果への近道になります。
Q3. ホテルが最初に注力すべきSNSはどれですか?
客室や料理の世界観を伝えるならInstagram、若年層やZ世代の取り込みにはTikTokが有効です。リピーター育成や直接予約強化にはLINEが第一候補になります。ターゲット層と運用目的を起点に、1〜2媒体に絞ることをおすすめします。
Q4. ホテルのSNS運用は内製と外注のどちらが良いですか?
長期で自社にノウハウを残したい場合は内製、短期で成果を出したい場合は外注が向いています。両方の利点を組み合わせた「内製化支援」も選択肢のひとつです。3〜6ヶ月後の理想状態から逆算して決めると、失敗しにくくなります。
Q5. 小規模ホテルや地方旅館でもSNS集客で成果は出せますか?
規模に関係なく成果は出せます。むしろ広告予算が限られる小規模施設こそ、SNSの恩恵を受けやすい立場です。本記事の事例にもあるとおり、地方の小規模ホテルが赤字状態からSNS発信のみで再建を果たしたケースも報告されています。
まとめ|ホテルSNS成功事例を自社に活かすには
ホテル業界のSNS成功事例から学べるのは、媒体ごとの特性を理解しながら「体験価値」を軸に発信することです。
- Instagramでは世界観を写真やリールで伝える
- TikTokでは短尺動画で若年層の共感を集める
- Xではリアルタイム発信で予約や信頼を獲得する
- YouTubeでは長尺動画で滞在体験を深掘りする
- LINEではリピーター施策や直接予約を強化する
こうした戦略を組み合わせれば、OTA依存から脱却し、予約数増加・ブランド強化・リピーター育成を同時に実現できます。
ただし、成果を出しているホテルSNS成功事例の多くは「継続的な分析」と「改善サイクル」を回している点も共通しています。自社だけで試行錯誤するのではなく、最新事例や専門知見を活用することで、運用効果を最短で高めることが可能です。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
記事でご紹介したホテルの事例を含む、700社以上の支援実績から厳選した10社分の成功事例集を無料で公開しています。施策・KPI・運用体制まで業種別にまとめてあるので、自社に近いケースが見つかりやすい構成です。
→ホテル業界向けの成功事例10社分を無料ダウンロード
入力項目4つだけ・30秒で完了します。