「SNS運用を始めたいけど、上司にどう提案すればいいんだろう…」
クライアントからよく聞かれる相談のひとつです。SNSの重要性は感じているのに、いざ社内で提案するとなると、何をどう伝えればいいか分からない。そんなモヤモヤを抱えている方、多いんです。
私はSNSコンサルタントとして10年以上、企業のSNS運用を支援してきました。その中で気づいたのは、提案が通らない原因の多くは「SNSの価値がうまく言語化できていない」ことにあります。
逆に言えば、決裁者や関係者が知りたいポイントを押さえた提案資料さえ作れれば、社内の合意はぐっと取りやすくなります。
この記事では、SNS運用の社内提案資料に盛り込むべき項目を12枚のテンプレート付きで解説します。決裁者を納得させるデータの使い方、よくある失敗パターンへの対処法、実際に内製化に成功した事例まで、提案を通すために必要な情報をまとめました。
コピペで使える見出しのテンプレートもご用意しました。各見出しでどのような内容を含めばよいかまで解説します。とはいえ、企業でSNSをやると言っても集客・採用・ブランディングなど目的はさまざまかと思います。自社に合わないと思ったらカスタマイズして活用してみてください。
【テンプレ付き】SNS運用の社内提案資料に盛り込むべき項目とは?
SNS運用支援を10年間やってきた経験に基づく私見ですが、提案が通る資料と通らない資料の違いは「情報量」ではありません。決裁者が意思決定するために必要な項目が、過不足なく揃っているかどうかです。
ここでは、SNS運用の社内提案資料に盛り込むべき項目を「12個の見出しテンプレート」として整理しました。各スライドに何を書けばいいかの記載例もあわせて紹介するので、自社の状況に当てはめながら読み進めてみてください。
提案資料の基本構成(12枚テンプレ)はどうなっている?
以下の12枚構成を軸にすると、決裁者が求める情報を網羅できます。
スライド1:結論(提案の概要)

最初に「何を提案するのか」「期待できる効果」「必要な工数」を1枚にまとめます。忙しい決裁者は冒頭で全体像を把握したいので、ここで結論を示しておくのがポイントです。 記載例:「Instagram運用により、半年で指名検索数20%増を目指します。週5時間の運用工数で開始可能です。」
スライド2:背景(市場・顧客行動・競合状況)

SNSを取り巻く市場環境を簡潔に示します。帝国データバンクの2023年調査によると、企業の40.8%がSNSを活用しています(参照:https://www.tdb.co.jp/report/economic/xhldw9cakj/ )。こうしたデータを使って「業界全体の流れ」を見せましょう。
スライド3:現状課題(自社固有の課題)

自社が抱える課題をSNSと接続して提示します。認知不足、リード獲得の伸び悩み、採用母集団の不足など、決裁者が実感している課題と紐づけることが大切です。 記載例:「直近1年で新規問い合わせ数が15%減少。Web経由の認知接点が不足しており、SNSでの情報発信が有効と考えます。」
スライド4:目的(KGI)と成功定義

SNS運用で達成したい最終目標を定量的に設定します。「フォロワーを増やす」ではなく、経営に紐づく指標を置くことが重要です。 記載例:「KGI:6ヶ月後にSNS経由の問い合わせ月10件。成功定義:3ヶ月試験運用で月3件以上の問い合わせ獲得。」
スライド5:ターゲット/ペルソナ

誰に届けるかを明確にします。年齢・役職・課題・情報収集の行動パターンまで具体的に設定すると、投稿内容の方向性が定まります。
スライド6:媒体選定(なぜこのSNSか)

どのSNSを使うかを、根拠とともに示します。詳しい選定方法はこのあと解説します。
スライド7:運用方針(発信軸・投稿カテゴリ)

何を発信するかの軸を決めます。曜日ごとにカテゴリを固定すると、ネタ切れを防ぎやすくなります。 記載例:「月曜=業界ニュース、水曜=社員紹介、金曜=製品活用Tips」
スライド8:施策案(企画例)

具体的な投稿イメージを3〜5例ほど見せます。テキストだけでなく画像や動画のラフ案があると、決裁者がイメージしやすくなります。
スライド9:体制と役割

誰が何を担当するかを明示します。責任者・投稿担当・制作担当・承認者の4つの役割を最低限決めておきましょう。
スライド10:運用フロー(承認・炎上時対応含む)

投稿の企画から公開までの流れと、万が一のトラブル時の対応手順を示します。ガバナンス面を最初から設計しておくと、決裁者の不安を先回りして解消できます。
スライド11:KPI設計と測定方法

中間指標としてのKPIと、効果をどう測定するかを示します。月次レポートの雛形イメージがあると説得力が増します。 記載例:「KPI:月間インプレッション5万、エンゲージメント率3%、プロフィールクリック500件」
スライド12:予算・スケジュール

費用の内訳と、段階的なスケジュールを提示します。「まず3ヶ月の試験運用で効果を検証し、継続判断する」という段階的アプローチが、決裁者の心理的ハードルを下げるコツです。
決裁者が気にするポイント(想定ツッコミと回答)とは?
「費用対効果は?」「炎上リスクは?」「誰がやるの?」の3つが代表的です。
提案資料を持っていくと、決裁者からはだいたい同じ質問が返ってきます。私がこれまで支援してきた企業でも、上の3つはほぼ毎回聞かれました。
大切なのは、これらの質問を「想定ツッコミ」として事前に準備しておくことです。以下に、よくあるツッコミとその回答例をまとめます。
ツッコミ1:「費用対効果はどうなの?」
回答例:「3ヶ月の試験運用にかかるコストは○○円です。KPIとして月間○件のリード獲得を目標とし、達成度を毎月レポートします。試験期間終了後に継続・中止を判断する設計です。」
ポイントは、いきなり年間の大きな数字を出さないことです。試験運用の小さな投資額と、段階的な判断プロセスを見せましょう。
ツッコミ2:「炎上したらどうするの?」
回答例:「投稿前の承認フロー、NG表現ガイドライン、炎上発生時の初動対応マニュアルを事前に策定します。運用開始前にリスク対策を設計済みです。」
具体的な対策を「すでに考えてあります」と示せるかが勝負どころです。
ツッコミ3:「誰がやるの?リソースは大丈夫?」
回答例:「担当者○名で週○時間の工数を想定しています。投稿テンプレートと管理シートを活用し、属人化しない体制を組みます。」
「担当者が頑張る」ではなく「仕組みで回す」設計であることを伝えるのが肝心です。
媒体選定(目的×ターゲット×強み)を1枚で説明するには?
「目的」「ターゲットの利用媒体」「各SNSの強み」の3軸を掛け合わせて選びます。
提案の場で「なんでInstagramなの?」「TikTokのほうがいいんじゃない?」と聞かれるケースは少なくありません。ここで根拠を示せないと、提案全体の説得力が下がってしまいます。
媒体選定は、以下の3ステップで整理すると1枚のスライドにまとめやすくなります。
ステップ1:目的から候補を絞る
目的 | 向いている媒体 | 理由 |
|---|---|---|
認知拡大 | X(旧Twitter)・TikTok | 拡散力が高く、幅広い層にリーチしやすい |
ブランディング | 写真・動画でビジュアル訴求に強い | |
BtoBリード獲得 | Facebook・LinkedIn | ビジネス層の利用率が高く、実名制で信頼性がある |
若年層へのアプローチ | TikTok・Instagram | 10〜30代の利用率が高い |
既存顧客との関係構築 | LINE公式アカウント | 1対1のコミュニケーションに強い |
認知拡大ならリーチが広いX(旧Twitter)やTikTok、ブランディングならビジュアル訴求に強いInstagram、BtoB向けのリード獲得ならFacebookやLinkedInが候補になります。
ステップ2:ターゲットの利用媒体を確認する
自社のターゲット層がどのSNSを日常的に使っているかを調べます。年代・職種・業界によって利用傾向は異なるので、総務省の「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」などの公開データが参考になります(参照:https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000125.html )。
ステップ3:各SNSの強みと自社リソースを照合する
動画制作の体制があればTikTokやInstagramリール、テキスト中心で素早く発信したいならXが向いています。リソースに見合わない媒体を選ぶと、運用が続かなくなるリスクがあります。
この3軸を表形式で1枚にまとめて提案資料に入れると、決裁者に「ちゃんと考えて選んでいる」と伝わります。
SNS運用の必要性を社内で通すにはどんなデータが効果的?
市場データ、競合の動向、費用対効果の試算の3つを揃えると、決裁者の納得感が高まります。
「SNSって本当に意味あるの?」と聞かれたとき、感覚的に「今の時代はSNSが大事です」と伝えても、なかなか響きませんよね。私の経験上、決裁者が求めているのは「うちの会社にとってどう役立つのか」という具体的な根拠です。
ここでは、提案資料に盛り込むべきデータを3つの切り口で整理していきます。
市場データ(ユーザー動向)を自社に関係づける読み解き方は?
市場データは「数字を載せる」だけでなく、自社の課題と接続して見せることがポイントです。
提案資料に市場データを入れるのは定番ですが、ただ数字を並べるだけでは決裁者の心は動きません。「で、うちに関係あるの?」と思われてしまいます。
たとえば、帝国データバンクの2023年調査では企業の40.8%がSNSを活用しています(参照:https://prx.dentsuprc.co.jp/blog/sns-management )。この数字をそのまま載せるのではなく、「同業他社の約4割がすでにSNSを活用しており、当社は情報発信の面で後れを取っている可能性がある」と自社の状況に読み替えて提示すると、ぐっと説得力が増します。
SNSの利用率データも同様です。総務省の「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、Instagramの利用率は52.6%、X(旧Twitter)は43.3%、TikTokは33.2%に達しています(参照:https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000125.html )。ここから「自社のターゲット層である30代女性はInstagramの利用率が特に高い。だからInstagramを選ぶ」と筋道を立てれば、媒体選定の根拠にもなります。
市場データは「業界の潮流を示す」役割と「自社の課題を裏づける」役割の両方を持たせると、提案資料の中で活きてきますよ。
競合ベンチの集め方と提案資料への落とし込み方は?
競合3〜5社のSNSアカウントを調べ、投稿頻度・伸びている企画・フォロワーの反応を比較表にまとめましょう。
決裁者にとって、市場データ以上に説得力があるのが「競合はもうやっている」という事実です。私がクライアントの提案支援をする際も、競合ベンチ(競合のSNS運用状況の調査)は必ず入れてもらっています。
具体的な集め方は次の3ステップです。
ステップ1:競合アカウントをリストアップする 同業他社や、ターゲット層が重なる企業を3〜5社選びます。直接の競合だけでなく、SNS運用がうまい異業種を1社入れると「こんな見せ方もある」と提案の幅が広がります。
ステップ2:定量データを記録する フォロワー数、直近1ヶ月の投稿頻度を各アカウントごとに記録します。X(旧Twitter)では動画を含む投稿がエンゲージメントを最大33%向上させるというデータもあり(参照:https://datareportal.com/essential-x-statsdatareportal )、投稿形式(画像・動画・テキスト)の傾向も見ておくと参考になります。
ステップ3:比較表にまとめる 以下のような表を提案資料に1枚入れるだけで、決裁者は「競合との差」を一目で把握できます。
項目 | A社 | B社 | C社 | 自社(現状) |
|---|---|---|---|---|
フォロワー数 | 5,200 | 3,800 | 8,100 | 未開設 |
月間投稿数 | 20回 | 12回 | 30回 | ー |
主な投稿形式 | 画像+テキスト | 動画中心 | リール+ストーリーズ | ー |
伸びている企画 | 社員紹介 | 製品Tips動画 | ユーザー投稿の紹介 | ー |
※数値はイメージです。各社の公開情報をもとに記入してください。
この表があると「競合のC社は月30回投稿して表示数の平均はおよそ〇万です。当社はまだ未着手」という現状のギャップが可視化され、「やらない理由」を説明するほうが難しくなります。
費用対効果の出し方は?(前提テンプレ付き)
「いくらかけて、何がどれくらい返ってくるか」の前提条件を明示した試算フォーマットを用意するのが効果的です。
費用対効果の質問は、提案の場でほぼ確実に出ます。ただ、SNS運用は広告と違って「投資額に対するリターン」を単純計算しにくいのも事実です。「数字が苦手で…」という方でも使えるよう、シンプルな試算テンプレートを紹介します。
【費用対効果 試算テンプレート】
項目 | 内容 | 金額(月額) |
|---|---|---|
コスト | ||
人件費(担当者の工数) | 週5時間 × 時給換算 | 約80,000円 |
ツール費(投稿管理・分析) | 月額利用料 | 約10,000円 |
制作費(画像・動画素材) | 社内制作 or 外注 | 約30,000円 |
コスト合計 | 約120,000円 | |
期待リターン(3ヶ月後目標) | ||
SNS経由の問い合わせ | 月3件 × 顧客単価 | 算出 |
指名検索数の増加 | ○%増 | 間接効果 |
採用応募数の増加 | ○件増 | 間接効果 |
このテンプレートのポイントは3つあります。
1. 前提条件を明記する 「週5時間の工数」「3ヶ月後の目標」など、計算の前提を隠さず書きます。前提が明確なら、決裁者は「この条件なら妥当だ」と判断しやすくなります。
2. 直接効果と間接効果を分ける SNS経由の問い合わせ件数は直接効果として数値を置きます。一方、指名検索数や採用への効果は「間接効果」として分けて記載すると、過大な期待を持たせずに済みます。
3. 段階的な投資を提案する 最初から年間予算を提示するのではなく、「3ヶ月の試験運用で月12万円」のように小さく始める提案にすると、決裁のハードルが下がります。
TikTokプロモーションを実施した中小企業の88%が「売上が増加した」と回答しているデータもあります(参照:https://sbecouncil.org/2025/11/27/the-tiktok-boost-to-small-business/ )。こうした第三者データを試算の補足として添えておくと、「SNS運用には投資する価値がある」という裏づけになります。
大切なのは、完璧な数字を出すことよりも「根拠のある試算を見せる姿勢」です。決裁者は「ちゃんと考えている」と分かれば、多少の不確実性は受け入れてくれる場合が多いですよ。
社内のSNS運用担当者の育成にも費用が掛かるのでは?と考える方もいらっしゃるかと思います。中小企業ではWebマーケティングに詳しい社員がいないというケースも多いです。
育成についてどう進めればよいかはこちらの記事を参考にしてみてください。→SNS運用担当者の育成方法|未経験でも6ヶ月で自走できる仕組み
社内提案が通らない原因は何?失敗パターンと対処法
目的の曖昧さ、効果測定の不備、リスク対策の欠如、属人的な体制設計の4つが主な原因です。
「しっかり資料を作ったのに通らなかった…」という相談、実はかなり多いんです。私がこれまで支援してきた企業の話を聞くと、提案が却下される理由にはパターンがあります。
裏を返せば、決裁者が「ここが不安」と感じるポイントを事前に潰しておけば、提案の通過率は大きく上がります。ここでは、よくある失敗パターンとその対処法を整理していきましょう。
「効果が見えない」と言われた時の回答テンプレ
KPIを「売上」や「フォロワー数」だけに設定していることが原因です。段階的な指標設計で効果の見える化を提示しましょう。
「で、いくら儲かるの?」「フォロワーが増えて何になるの?」——提案の場で最も多いツッコミがこれです。気持ちはすごく分かります。正直、SNS運用の効果を一言で説明するのは難しいですよね。
この問題が起きる背景には、2つの失敗パターンがあります。
失敗パターン1:目的が曖昧なまま提案している
「SNSを始めたい」が目的になってしまっていて、「何のためにやるのか」が抜けているケースです。フォロワー数を目的にすると「それが売上にどうつながるの?」と返されます。SNS運用は手段であって目的ではありません。「認知拡大→指名検索の増加→問い合わせ数の向上」のように、経営目標とのつながりを示す必要があります。
失敗パターン2:KPIが最終成果(売上等)にしか設定されていない
SNS運用は広告と違い、成果が出るまでに時間がかかります。最初から売上直結のKPIだけを置くと、「3ヶ月やったけど売上が変わらない。やめよう」となりがちです。
この2つを踏まえた回答テンプレートがこちらです。
【回答テンプレート】
「SNS運用の効果は段階的に現れます。まず3ヶ月でインプレッション数とプロフィールクリック数をKPIとし、認知の広がりを計測します。次の3ヶ月でSNS経由のサイト流入数と問い合わせ数を追い、事業への貢献度を検証します。各段階の数値をもとに継続・中止を判断する設計です。」
ポイントは、短期KPI(認知指標)と中期KPI(行動指標)を分けて提示することです。「まず小さく始めて、データで判断しましょう」という姿勢を見せると、決裁者も安心しやすくなります。
リソース不足問題を解決する方法
「全部自社でやる」か「全部外注する」の二択ではなく、内製・部分外注・外注の3パターンを比較して提示しましょう。
「うちにはSNSを担当できる人がいない」「本業が忙しくて手が回らない」——リソース不足は、効果への不安と並んで提案が止まる大きな理由です。
ここで陥りがちな失敗パターンがあります。
失敗パターン3:体制が「担当者が頑張る」前提になっている 特定の社員の意欲や能力に依存した提案は、決裁者から見ると「その人が異動したらどうなる?」というリスクに映ります。属人化しない仕組みを提案に組み込むことが大切です。
この問題に対しては、3つの運用パターンを比較表で見せるのが効果的です。
項目 | 内製 | 部分外注 | 完全外注 |
|---|---|---|---|
月額コスト目安 | 8〜15万円(人件費中心) | 15〜30万円 | 30〜50万円以上 |
社内工数 | 週5〜10時間 | 週2〜3時間 | 月1〜2時間(確認のみ) |
社内に知見が残るか | ◎ 蓄積される | ○ 一部蓄積 | △ 残りにくい |
自社らしさの発信 | ◎ 強い | ○ 連携次第 | △ 薄くなりがち |
スピード感 | ○ 即対応しやすい | ○ 分担による | △ やり取りに時間がかかる |
向いている企業 | ノウハウを内製化したい | リソースが限られるが知見も残したい | 社内にまったく余裕がない |
※金額は目安です。業種・規模・依頼範囲により変動します。
私がおすすめしているのは「部分外注」からスタートする方法です。戦略設計や分析・改善提案は外部の専門家に任せて、投稿の企画や撮影は社内で担当する。この分担なら社内の工数を抑えつつ、運用ノウハウも少しずつ蓄積できます。
SNSCHOOLでも、最初は部分外注の形で伴走しながら、段階的に内製化へ移行する支援を行っています。「最初から全部自分たちでやらなきゃ」と構えなくて大丈夫ですよ。
提案資料には「将来的に内製化を目指す前提で、まずは部分外注で立ち上げる」というロードマップを入れておくと、コスト面とリスク面の両方で決裁者を安心させられます。
内製化と外注どちらか迷っている方はこちらの記事も読んでみてください。→SNS内製化と代行を徹底比較|自社に最適な運用体制の選び方
炎上・権利・コンプラ不安を潰すには?(ガイドライン/承認フロー)
リスク対策を「運用開始前に設計済み」と示すことで、決裁者の不安を先回りして解消できます。
「炎上したらどうするんだ」「変な投稿をして会社の評判が下がったら困る」——SNS提案で必ず出るのがリスクへの懸念です。
失敗パターン4:リスク対策がまったく触れられていない SNSの可能性ばかり語って、リスクへの備えが提案資料に含まれていないと、決裁者は「リスクを軽視している」と感じます。実は、リスク対策をきちんと見せるだけで「この人はちゃんと考えている」という信頼感につながるんです。
提案資料には、最低限以下の3つを盛り込みましょう。
1. 投稿ガイドライン(NG表現・権利・個人情報) 投稿で使ってはいけない表現、画像の著作権・肖像権の取り扱い、個人情報の掲載ルールを明文化します。たとえば「お客様の写真は書面で許可を得たもののみ使用」「他社の商標・ロゴは原則使用不可」など、具体的なルールがあると担当者も迷わずに済みます。
2. 投稿の承認フロー 投稿を公開するまでのチェック体制を図で示します。シンプルな例はこちらです。
担当者が下書き作成 → チームリーダーが内容確認 → 責任者が最終承認 → 投稿公開
承認にかかる日数も明記しておくと、「運用が回るのか?」という疑問にも答えられます。タイムリーな話題への対応が必要な場合は「通常投稿」と「緊急投稿」でフローを分けておくのも有効です。
3. 炎上時の初動対応マニュアル 万が一炎上が起きた場合の対応手順を、ステップ形式でまとめておきます。
ステップ1:該当投稿の事実確認(投稿者・内容・拡散状況) ステップ2:責任者へ即時報告(発生から30分以内を目安) ステップ3:対応方針の決定(削除・訂正・謝罪文の要否) ステップ4:公式アカウントでの対応実施 ステップ5:再発防止策の策定と社内共有
この3つが提案資料に入っているだけで、決裁者の反応は大きく変わります。「リスクも想定した上で、対策を組み込んでいます」と言えるかどうかが、提案が通るかどうかの分かれ目になることも少なくありません。
企業のSNS運用で起こった炎上事例について知っておきたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。→企業SNS炎上の原因と事例まとめ|起きたときの初動対応と防止策【2025年最新版】
SNS運用の社内提案で使える成功事例とは?
提案資料には「自社でも再現できそう」と思える事例を入れると、決裁者の背中を押す材料になります。
「事例を入れたほうがいいのは分かるけど、どう書けばいいか分からない」という声もよく聞きます。ポイントは、単なる成功談ではなく「目的→体制→施策→成果→再現のコツ」の流れで整理することです。決裁者は「うちでもできるのか?」を見ているので、再現性が伝わる書き方を意識しましょう。
ここでは、SNSCHOOLが実際に支援した企業の事例を2つ紹介します。提案資料に掲載する際のフォーマットとしても参考にしてください。
【事例1】投稿カテゴリー化で運用が定着した製造業の取り組みとは?
投稿のルール化とスケジュールへの組み込みによって、属人的な運用から脱却し、継続的な発信体制を確立した事例です。
【事例1:AGCセラミックス株式会社様(製造業・大手企業グループ)】
項目 | 内容 |
|---|---|
目的 | 企業認知の向上、採用ブランディング |
ターゲット | 業界関係者、就職活動中の学生 |
体制 | 担当者1名+上長の承認体制(週3〜4時間の工数) |
施策 | 曜日ごとに投稿カテゴリーを設定(例:月曜=製品紹介、水曜=社員の日常、金曜=業界ニュース)。カテゴリーごとに文章・画像のテンプレートを作成し、投稿作成を「空いた時間にやる作業」から「業務スケジュールに組み込まれたタスク」へ転換 |
KPI | 月間インプレッション数、投稿頻度(週3回以上の継続) |
成果 | モチベーションに左右されない継続的な発信が可能になり、運用の標準化に成功 |
成功要因(再現ポイント) | 「何を投稿するか」を毎回ゼロから考えない仕組みを作ったこと。テンプレートがあることで、担当者が変わっても投稿の質を維持できる設計になっている |
提案資料への活かし方: 「投稿のネタ切れ」や「担当者の負担」を懸念する決裁者には、この事例が刺さります。提案資料のスライド7(運用方針・投稿カテゴリ)と連動させて、「カテゴリーを固定すれば、毎回の企画負担が減る」と具体的に説明できます。
【事例2】運用マニュアル策定で27拠点のブランドを統一した教育企業の方法とは?
「自律型運用マニュアル」の策定によって、27アカウントのブランドイメージを統一し、管理工数と担当者の心理的負担を同時に軽減した事例です。
【事例2:株式会社GXA様(教育・スポーツ業・中堅企業)】
項目 | 内容 |
|---|---|
目的 | グループ全体でのブランドイメージの統一、管理工数の削減 |
ターゲット | 各施設の利用者、保護者層 |
体制 | 本部のSNS統括担当1名+各施設の投稿担当者(計27名) |
施策 | 運用ルール、DM・コメントへの返信方法、アイコン・プロフィールの統一基準を網羅した「自律型運用マニュアル」を策定。各施設の担当者が本部に都度確認しなくても、マニュアルに沿って自走できる仕組みを構築 |
KPI | ブランドガイドラインの遵守率、管理工数の削減時間 |
成果 | 組織全体でのブランドイメージが統一され、管理工数の削減と担当者の心理的負担の軽減を実現 |
成功要因(再現ポイント) | ルールを「明文化」したこと。口頭での指示や暗黙の了解に頼らず、誰が読んでも同じ判断ができるマニュアルを整備した点が、複数拠点での運用を成功させた鍵 |
提案資料への活かし方: 複数の部署や拠点でSNS運用を検討している企業にとって、この事例は「管理が煩雑になるのでは?」という不安への回答になります。提案資料のスライド10(運用フロー)にマニュアル整備の計画を入れておくと、説得力が増します。
SNS運用を始めるとなったら何が必要?
運用マニュアル、投稿管理シート、ガイドライン、承認フロー、レポート雛形の5つを準備しておくと、提案が通った後もスムーズに動き出せます。
「提案は通ったけど、実際に何から手をつければ…」という状態になる企業は少なくありません。クライアントからも「提案が通った瞬間は嬉しかったけど、翌日から何をすればいいか分からなくなった」という声をよく聞きます。
実は、提案資料の中に「通った後に何を用意するか」まで書いておくと、決裁者に「この人は実行まで見据えている」と思ってもらえます。提案の説得力を上げる意味でも、このセクションは大切です。
ここでは、提案が通った後に用意すべきドキュメントを具体的に整理していきましょう。
運用マニュアル・投稿管理シート・ガイドラインの最低限とは?
担当者が迷わず運用できる「判断基準」を、3つのドキュメントに分けて明文化しておきましょう。
「マニュアルを作る」と聞くと大がかりに感じるかもしれませんが、最初から完璧なものを目指す必要はありません。まずは最低限の内容を押さえたシンプルなドキュメントから始めれば大丈夫です。
1. 運用マニュアル SNS運用の全体像を1冊にまとめたドキュメントです。以下の項目を盛り込んでおくと、担当者が変わっても運用の質を維持できます。
記載項目 | 内容の例 |
|---|---|
運用の目的・KGI・KPI | 「SNS経由の問い合わせ月10件」等 |
ターゲット・ペルソナ | 年齢・役職・課題・情報収集の行動 |
使用する媒体と選定理由 | 「30代女性がメインターゲット→Instagram」 |
投稿カテゴリーと曜日設定 | 月曜=業界ニュース、水曜=社員紹介、等 |
投稿のトーン&マナー | 「ですます調」「絵文字は1投稿2個まで」等 |
ハッシュタグルール | 固定タグ+テーマ別タグの組み合わせ方 |
DM・コメントへの返信方針 | 返信する/しないの基準、返信のテンプレート |
事例2で紹介したGXA様のケースでは、このような運用マニュアルを「自律型」として設計し、27拠点の担当者が本部に都度確認しなくても自走できる仕組みを実現しています。
2. 投稿管理シート 投稿の企画・制作・承認・公開を一元管理するシートです。Googleスプレッドシートなどで作成し、チームで共有するのが一般的です。
列の項目例 | 内容 |
|---|---|
投稿日 | 公開予定日 |
カテゴリー | 製品紹介/社員紹介/業界ニュース等 |
テキスト(下書き) | 投稿文のドラフト |
画像・動画素材 | ファイルリンクまたは添付 |
ステータス | 下書き→確認中→承認済み→公開済み |
担当者 | 作成者と承認者の名前 |
公開後の数値 | インプレッション・エンゲージメント等 |
このシートがあると、「誰が何をどこまで進めているか」がチーム全体で見える化されます。事例3の追手門学院大学様の取り組みでも、投稿管理シートに数値を記録し、「なぜ伸びたか」の考察をセットで残すことで、組織的な知見の蓄積につなげていました。
3. ガイドライン(NG表現・権利・個人情報) すでに触れましたが、投稿で守るべきルールをまとめたドキュメントです。運用マニュアルとは別に1枚のシートとして独立させておくと、担当者が投稿前にさっと確認できます。
項目 | ルールの例 |
|---|---|
NG表現 | 競合他社の批判、政治・宗教に関する発言、誇大表現 |
画像の著作権 | 自社撮影またはライセンス取得済みの素材のみ使用 |
肖像権 | お客様・社員の写真は書面で許可を得たもののみ掲載 |
個人情報 | 氏名・住所・連絡先等は投稿に含めない |
引用ルール | 出典を明記、他社コンテンツの無断転載禁止 |
この3つのドキュメントを提案資料のスライド9(体制と役割)やスライド10(運用フロー)の中で「運用開始前に策定予定」と示しておくと、決裁者に安心感を与えられます。
承認フロー(投稿チェック体制)はどう設計する?
投稿の種類に応じて「通常投稿」と「緊急投稿」の2つのフローを用意しておくのがおすすめです。
承認フローが曖昧なまま運用を始めると、「この投稿、誰に確認すればいいんだっけ?」と現場が混乱します。逆に、承認のステップが多すぎると投稿のスピードが落ちて、タイムリーな情報発信ができなくなります。
バランスを取るために、2種類のフローを設計しておきましょう。
通常投稿の承認フロー(標準:2営業日)
担当者が投稿管理シートに下書きを記入 → チームリーダーが内容・トーンを確認(1営業日以内) → 責任者が最終承認(1営業日以内) → 担当者が投稿を公開
緊急投稿の承認フロー(当日対応)
担当者がチームリーダーにチャット等で即時連絡 → チームリーダーが内容を口頭またはチャットで確認 → 責任者へ事後報告(投稿後24時間以内)
緊急投稿は、トレンドへの即時対応や、お客様からの緊急の問い合わせへの返信など、スピードが求められる場面を想定しています。ただし、緊急フローの乱用を防ぐために「緊急投稿に該当する条件」も明記しておくと安心です。
承認フローは提案資料のスライド10に図として入れておくと、決裁者が「チェック体制がある」と一目で確認できます。
投稿スケジュールと振り返りの仕組み(レポート雛形)はどう作る?
週次で投稿の実行を管理し、月次でデータを振り返るサイクルを回すのが基本です。
「投稿を始めたはいいけど、やりっぱなしになっている」——SNS運用でよくある失敗のひとつです。継続的に成果を出している企業には、投稿と振り返りがセットになった運用サイクルがあります。
週次でやること:投稿スケジュールの管理
曜日 | カテゴリー | 担当 | ステータス |
|---|---|---|---|
月 | 業界ニュース | 担当者A | 公開済み |
水 | 社員紹介 | 担当者B | 承認待ち |
金 | 製品活用Tips | 担当者A | 下書き中 |
投稿管理シートにこの週次スケジュールを組み込んでおけば、「今週何を投稿するか」がチーム全体で共有できます。
月次でやること:振り返りレポートの作成
月に1回、以下の項目を振り返るレポートを作成します。
レポート項目 | 記載内容 |
|---|---|
投稿実績 | 投稿数、カテゴリー別の内訳 |
KPI進捗 | インプレッション、エンゲージメント率、サイト流入数等 |
好調だった投稿 | 上位3投稿とその要因分析 |
改善が必要な点 | 数値が伸びなかった投稿の原因と改善案 |
翌月のアクション | 改善施策、新しい企画案 |
Meta社が提供するMeta Business Suite(FacebookとInstagramの公式管理ツール)では、リーチ数やエンゲージメント、フォロワー属性などのインサイトを一元管理できます(参照:https://apps.apple.com/us/app/meta-business-suite/id514643583 )。こうした公式ツールを活用すれば、データの集計作業を効率化できます。
このレポート雛形を提案資料のスライド11(KPI設計と測定方法)に入れておくと、「やりっぱなしにしない。データで振り返って改善し続ける」という姿勢が伝わります。決裁者にとっては「効果検証の仕組みがある」という安心材料になりますよ。
すぐ作れる!SNS運用の社内提案資料作成を5ステップで解説
自社の課題整理からスタートし、5つのステップを順番に進めれば、約1〜2週間で提案資料が完成します。
H2①では提案資料の完成形(12枚テンプレート)を紹介しました。ここでは「実際にどう手を動かして作るか」という作業手順を解説します。集めるべき材料や所要時間の目安も入れているので、スケジュールを立てる参考にしてください。
「資料作成って大変そう…」と感じるかもしれませんが、ステップごとに区切って進めれば、一気にやる必要はありません。一緒に整理していきましょう。

ステップ1:自社の課題と目的を整理する(所要時間:1〜2時間)
最初にやるべきことは、「なぜSNS運用を始めたいのか」を言語化する作業です。
ここが曖昧なまま進めると、資料全体の軸がブレてしまいます。「SNSをやりたい」が目的になっている提案は通りにくい傾向があります。
以下の3つの問いに答える形で整理してみてください。
問い1:自社が今抱えている課題は何か? 例:「新規の問い合わせが減っている」「採用の応募者数が伸び悩んでいる」「既存顧客との接点がメルマガしかない」など、経営上の課題を具体的に書き出します。
問い2:その課題に対して、SNSはどう貢献できるか? 例:「SNSでの情報発信により認知を広げ、指名検索数を増やす」「社風が伝わるコンテンツで採用母集団を拡大する」など、課題とSNSの接続を明確にします。
問い3:最終的にどんな状態を目指すか(KGI)? 例:「6ヶ月後にSNS経由の問い合わせを月10件獲得する」のように、定量的なゴールを設定します。
この3つが整理できれば、提案資料のスライド1(結論)、スライド3(現状課題)、スライド4(目的・KGI)の素材が揃います。
ステップ2:市場データ・競合ベンチを集める(所要時間:2〜3時間)
次に、提案の根拠となる外部データを集めます。
必要な情報は大きく2種類です。
(1)市場データ SNSの利用率やユーザー動向を示す統計データを2〜3件集めます。帝国データバンクの調査や、総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(参照:https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000125.html )が定番です。
データを集めるときのコツは、「数字をそのまま使う」のではなく、ステップ1で整理した自社の課題と結びつけて読み解くことです。「業界全体の40.8%がSNSを活用している中、当社は未着手」のように、自社との関係を一文で添えましょう。
(2)競合ベンチ 競合3〜5社のSNSアカウントを調査します。フォロワー数、投稿頻度、伸びている企画、エンゲージメントの傾向を記録してください。
所要時間の目安は、市場データの収集に1時間、競合ベンチに1〜2時間です。このステップで集めた情報は、スライド2(背景)の素材になります。
ステップ3:KGI・KPIを設定する(所要時間:1時間)
ステップ1で決めたKGI(最終目標)を起点に、段階的なKPI(中間指標)を設計します。
KPIの設定で大切なのは、「短期(1〜3ヶ月)」と「中期(4〜6ヶ月)」で指標を分けることです。最初から売上直結の指標だけを追うと成果が見えにくくなります。
KPI設計の例:
期間 | 指標 | 目標値の例 |
|---|---|---|
短期(1〜3ヶ月) | 月間インプレッション数 | 50,000 |
短期(1〜3ヶ月) | エンゲージメント率 | 3% |
短期(1〜3ヶ月) | プロフィールクリック数 | 500件/月 |
中期(4〜6ヶ月) | SNS経由のサイト流入数 | 1,000件/月 |
中期(4〜6ヶ月) | SNS経由の問い合わせ数 | 月10件 |
目標値は、ステップ2で集めた競合ベンチのデータを参考にすると現実的な数字を置きやすくなります。「競合のA社がエンゲージメント率2.1%なので、まずは3%を目指す」のように根拠を添えると、決裁者に対しても説得力が出ます。
このステップの成果は、スライド4(目的・KGI)とスライド11(KPI設計と測定方法)に反映されます。
ステップ4:運用体制と投稿計画を設計する(所要時間:2時間)
「誰が」「何を」「どの頻度で」投稿するかを決めます。
ここで設計するのは、以下の3つです。
(1)体制と役割分担 最低限、4つの役割を決めておきましょう。
役割 | 担当する内容 | 想定工数 |
|---|---|---|
責任者 | 最終承認、トラブル時の判断 | 週30分 |
投稿担当 | 企画立案、テキスト作成 | 週2〜3時間 |
制作担当 | 画像・動画の撮影・編集 | 週1〜2時間 |
承認者 | 投稿内容のチェック | 週30分 |
1人が複数の役割を兼ねても構いません。少人数で始める場合は、「投稿担当と制作担当を1人が兼任し、責任者が承認も担当」という2名体制でも運用できます。
(2)投稿カテゴリーと頻度 事例1のAGCセラミックス様が実践したように、曜日ごとにカテゴリーを固定すると企画の負担が減ります。まずは週2〜3回の投稿からスタートし、慣れてきたら頻度を増やすのが無理なく続けるコツです。
(3)承認フローの設計 紹介した「通常投稿」と「緊急投稿」の2パターンを整理しておきましょう。
このステップの成果は、スライド7(運用方針)、スライド8(施策案)、スライド9(体制と役割)、スライド10(運用フロー)に反映されます。提案資料の中で最もボリュームが出る部分です。
ステップ5:費用・スケジュール・成果見通しをまとめる(所要時間:1〜2時間)
最後に、費用の内訳と段階的なスケジュールを整理して、提案資料を仕上げます。
(1)費用の内訳 紹介した費用対効果の試算テンプレートを活用して、月額コストを算出します。内製・部分外注・外注のどのパターンで提案するかによって金額が変わるので、前述の比較表を参考にしてください。
(2)スケジュール いきなり本格運用を始めるのではなく、段階的に進める計画にすると決裁者の心理的ハードルが下がります。
フェーズ | 期間 | 主な活動 |
|---|---|---|
準備期間 | 1ヶ月目 | アカウント開設、マニュアル策定、テスト投稿 |
試験運用 | 2〜4ヶ月目 | 週2〜3回の投稿、KPIの計測開始 |
効果検証 | 4ヶ月目末 | KPI達成度を評価、継続・拡大・中止を判断 |
本格運用 | 5ヶ月目〜 | 投稿頻度の拡大、新しい施策の追加 |
「3ヶ月の試験運用で効果を検証し、継続判断する」というロードマップを提示するのが、提案を通すうえで最も効果的なアプローチです。決裁者にとっては「ダメならやめられる」という安心感が、GOサインを出しやすくする要因になります。
(3)成果の見通し ステップ3で設定したKPIをもとに、3ヶ月後・6ヶ月後の到達イメージを簡潔に示します。過度に楽観的な数字は避け、競合ベンチのデータを根拠にした現実的な見通しを書きましょう。
このステップの成果は、スライド12(予算・スケジュール)に反映されます。
よくある質問
SNS運用の提案資料は何ページくらいが適切ですか?
10〜12枚が目安です。
決裁者は忙しいので、分厚い資料を端から端まで読む時間はありません。紹介した12枚テンプレートのように、1スライド1テーマで簡潔にまとめると、短時間で要点が伝わります。
補足資料(競合ベンチの詳細データ、ガイドライン案など)は本編とは別にAppendix(付録)として用意しておくと、質問が出たときにさっと見せられて便利です。「本編12枚+必要に応じてAppendix」という構成が、私の経験上もっとも通りやすいパターンです。
どのSNSを選ぶべきですか?
「目的」「ターゲットの利用媒体」「自社のリソース」の3軸で選びましょう。
大切なのは「流行っているから」ではなく「自社の目的に合っているか」で判断することです。
迷ったときは、まず1つの媒体に絞って始めるのがおすすめです。複数のSNSを同時に立ち上げると運用の負荷が一気に上がり、どれも中途半端になるリスクがあります。1つの媒体で運用が安定してから、2つ目を検討しても遅くはありません。
効果が出るまでの期間はどのくらいですか?
認知指標(インプレッションやフォロワー数)は1〜3ヶ月、事業成果(問い合わせや売上)への貢献は6ヶ月以上を目安に見ておくと現実的です。
SNS運用は広告のように「出稿した翌日に成果が出る」ものではありません。まずはフォロワーとの信頼関係を築き、徐々に認知を広げていくプロセスが必要です。
だからこそ、「3ヶ月の試験運用→効果検証→継続判断」という段階的なスケジュールが重要になります。短期KPIで手応えを確認しながら進めれば、「成果が出ない」と焦らずに済みますよ。
炎上したらどうすればいいですか?
まず該当投稿の事実確認を行い、30分以内に責任者へ報告。対応方針を決めてから公式に対応する、という初動が大切です。
炎上時の初動対応マニュアルを紹介しましたが、もっとも重要なのは「慌てて投稿を削除しない」ことです。削除するとスクリーンショットが拡散され、「隠蔽した」と受け取られて事態が悪化する場合があります。
炎上を完全にゼロにすることは難しいですが、事前にガイドラインと承認フローを整備しておけば、発生リスクは大幅に下げられます。万が一の場合も、対応手順が決まっていればチーム全体で冷静に動けます。
運用工数は週何時間くらい必要ですか?
週5〜10時間が一般的な目安です。投稿頻度や制作の手間によって変動します。
週3回の投稿を想定した場合の工数配分の目安はこちらです。
作業内容 | 所要時間(週あたり) |
|---|---|
企画・テキスト作成 | 2〜3時間 |
画像・動画の撮影・編集 | 1〜3時間 |
投稿・コメント対応 | 1〜2時間 |
数値確認・振り返り | 30分〜1時間 |
合計 | 約5〜9時間 |
投稿テンプレートやカテゴリーの固定(事例1参照)を活用すれば、企画にかかる時間を短縮できます。また、部分外注(事例3参照)を活用すれば、社内の工数を週5時間以内に抑えることも可能です。
最初から完璧な運用を目指す必要はありません。まずは週2回の投稿から始めて、慣れてきたら頻度を上げていく進め方で大丈夫ですよ。
まとめ
この記事では、SNS運用の社内提案資料の作り方を、テンプレート・データの使い方・事例・作業手順まで一通り解説しました。最後に要点を振り返っておきましょう。
- 提案資料は12枚構成が目安。 結論→背景→課題→目的→ターゲット→媒体選定→運用方針→施策案→体制→運用フロー→KPI→予算の順番で、決裁者が判断に必要な情報を過不足なく盛り込みましょう。
- データは「載せる」だけでなく「自社に接続する」。 市場データ、競合ベンチ、費用対効果の試算を組み合わせて、「うちの会社にとってなぜ必要なのか」を根拠とともに示すことが大切です。
- よくある失敗パターンは事前に潰しておく。 「効果が見えない」「リソースが足りない」「炎上が怖い」という決裁者の不安に対して、段階的なKPI設計・内製/部分外注/外注の比較・ガイドラインと承認フローの整備で回答を準備しましょう。
- 提案が通った後のドキュメントまで見せると説得力が上がる。 運用マニュアル、投稿管理シート、ガイドライン、承認フロー、レポート雛形の準備計画を資料に入れておくことで、「この人は実行まで考えている」と信頼してもらえます。
- まずは5ステップで手を動かす。 課題整理→データ収集→KPI設定→体制設計→費用とスケジュールの順に進めれば、約1〜2週間で提案資料が完成します。最初から完璧を目指さなくて大丈夫です。
社内提案は、資料を作ること自体がゴールではありません。大切なのは、「SNS運用を通じて、自社のどんな課題を解決したいのか」というストーリーを、決裁者に伝わる形で届けることです。
この記事が、その第一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。
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