「SNS運用を始めたいけれど、社内の誰に任せればいいのか分からない」
そんな悩みを抱えていませんか?
企業のSNS活用が当たり前になりつつある今、担当者選びは経営判断の一つです。しかし実際には、多くの企業がこの最初の一歩でつまずいています。
東京商工リサーチが実施した「自社のSNS運用に関するアンケート」によると、全体の54.8%の企業がSNSを「運用していない」と回答しました(参照:https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197920_1527.html )。運用していない理由はさまざまですが、「適切な担当者がいない」「誰に任せるべきか判断できない」という声は、私たちSNSCHOOLにもよく寄せられます。
一方で、企業SNSの影響力は年々大きくなっています。Thinkings株式会社の調査では、就活生の80%、転職活動中の社会人の81%が「SNSで得た情報がきっかけで企業への志望度が変わった」と回答しています(参照:https://thinkings.co.jp/news/20250709_snsresearch_dl/ )。つまり、SNSの発信内容が採用や企業ブランディングに直結する時代です。だからこそ、「誰が発信するか」の選択が重要になります。
「SNSに詳しい若手に任せればいい」と考える方もいるかもしれません。でも、私の経験上、個人的にSNSを使いこなしていることと、企業アカウントで成果を出せることはまったくの別物です。
この記事では、企業SNS担当者に向いている人の特徴を7つの適性から整理し、社内で担当者を選ぶ具体的なステップまで解説します。未経験から成果を出した事例もご紹介しますので、「うちの会社には適任者がいない」と感じている方も、ぜひ最後まで読んでみてください。ぴったりの担当者像を見つけていきましょう。
SNS担当者に向いている人にはどんな特徴がある?
企業SNS運用で成果を出せる人には、「ユーザー視点」「データ分析力」「コミュニケーション力」「継続力」「コンテンツ企画力」「危機管理力」「プラットフォーム理解」の7つの適性があります。
クライアントによく聞かれるのが「SNSが得意な人=向いている人ですよね?」という質問です。気持ちはすごく分かりますが、実はそう単純ではありません。個人でバズった経験があっても、企業アカウントでは思うように成果が出ないケースは珍しくないんです。
企業SNSの担当者には、「好き」や「慣れ」だけでは補えないビジネススキルが求められます。Meta社が公開しているソーシャルメディアマネージャー向けガイドでも、コンテンツ制作力やデータ分析力、危機管理能力、ソーシャルリスニングなど、多岐にわたるスキルが重要とされています(参照:https://www.testgorilla.com/blog/social-media-manager-essential-skills/ )。
ここでは特に重要な3つの適性を深掘りしていきましょう。

ユーザー目線でコンテンツを企画できる人とは?
「自社が伝えたいこと」ではなく「フォロワーが知りたいこと」を起点に発信内容を考えられる人です。
企業SNSでありがちな失敗の一つが、新商品情報やキャンペーン告知ばかりの"一方通行"な発信です。フォロワーにとって有益な情報や共感できるストーリーがなければ、投稿はスルーされてしまいます。
向いている人は、普段から「この情報はターゲットにとって役立つか?」「どんな切り口なら興味を持ってもらえるか?」と考える習慣があります。たとえば、自社の施工実績を紹介するにしても、「ビフォーアフター写真で暮らしの変化を見せる」「お客様の声を交えてストーリー仕立てにする」といった工夫ができる人です。
私たちSNSCHOOLのクライアントでも、ユーザー目線への切り替えができた時点で、投稿へのエンゲージメントが目に見えて改善するケースが多くあります。特別なセンスがなくても、「届けたい相手の顔を思い浮かべる」という意識があれば十分です。
データを見て改善アクションを起こせる人とは?
インプレッションやエンゲージメント率などの数値を読み取り、次の投稿に反映できる人です。
「投稿して終わり」になってしまうのは、企業SNS運用でよくある課題です。向いている人は、投稿後の数値を確認し、「なぜこの投稿は反応が良かったのか」「リーチが落ちた原因は何か」を自分なりに分析できます。
ここで大切なのは、高度な分析スキルが必要なわけではないということです。各プラットフォームが提供しているインサイト機能を使えば、基本的なデータは誰でも確認できます。数字が苦手な方でも、「先週と今週でどちらの反応が良かったか」を比べるところから始められます。
担当者を含めたチーム全体の運用体制の設計方法は、「企業SNS運用体制の作り方|成果を出す組織づくりと生産性向上のコツ」で詳しくまとめています。
重要なのは、数値を見る習慣を持ち、「感覚」ではなく「根拠」をもとに改善を積み重ねられる姿勢です。私の経験上、この姿勢がある担当者は、最初は小さな成果でも、3か月後には明確な成長曲線を描けるようになります。
双方向のコミュニケーションを楽しめる人とは?
フォロワーからのコメントやDMに対して、事務的ではなく"人としての温度感"を持って対応できる人です。
企業SNSの強みは、広告では実現しにくい「顧客との直接的な対話」にあります。
- コメントへの返信
- リプライでのやりとり
- DMでの個別対応
こうしたコミュニケーションを「面倒な作業」ではなく「関係構築のチャンス」と捉えられるかどうかが、担当者の適性を大きく左右します。
TikTok for Businessの運用ガイドでも、一貫したブランド表現を保ちながらユーザーとの関係性を深めることの重要性が示されています(参照:https://socialrails.com/social-media-terms/tiktok-business-suite )。つまり、ブランドの"代弁者"として対話を楽しめる姿勢が求められるのです。
「コミュニケーション力」というと、話し上手な人をイメージするかもしれません。しかし、SNSにおいては「聞き上手」「寄り添い上手」な人の方が力を発揮するケースも多いんですよ。フォロワーの声に耳を傾け、丁寧に応えられる人は、企業への信頼を着実に積み上げていけます。
企業SNS担当者に求められるスキルとは?
「向いている人の特徴」に加えて、実務で成果を出すには「プラットフォームの特性理解」と「危機管理・炎上対応力」の2つのスキルが欠かせません。
前のセクションでは、SNS担当者の適性として7つの要素をお伝えしました。ただ、適性はあくまで"土台"です。実際の運用では、それぞれのSNSに合った発信の仕方を知っていることや、万が一のトラブルに冷静に対応できる力も求められます。
マンパワーグループの調査によると、採用活動にSNSを活用している企業は新卒採用で34.5%、中途採用で29.8%にのぼります(参照:https://www.manpowergroup.jp/client/jinji/240805.html )。採用広報、ブランディング、集客——SNS担当者の守備範囲は年々広がっています。だからこそ、感覚頼みではなく、体系的なスキルを身につけることが大切です。
ここでは、特に現場で差がつく2つのスキルを掘り下げます。
プラットフォームごとの特性理解はなぜ重要?
Instagram、X(旧Twitter)、Facebook、TikTok、LINEはそれぞれユーザー層やアルゴリズムが異なるため、同じ内容でも「どこに・どう出すか」で成果が大きく変わるからです。
「とりあえず全部のSNSに同じ投稿をしている」という企業は少なくありません。しかし、これはあまり効果的とは言えないやり方です。たとえば、Instagramではビジュアルの訴求力が重視されますが、Xではタイムリーな話題性やテキストの切れ味が反応を左右します。Facebookは長文の読み物コンテンツと相性が良く、TikTokでは冒頭数秒のインパクトが視聴完了率を大きく左右します。
LINE公式アカウントの運用においても、担当者ごとにチャットルームを割り振る機能が用意されており、複数人で運用する際には役割分担と品質管理が重要であることが公式ガイドで示されています(参照:https://lme.jp/media/line/manager/ )。プラットフォームごとに運用のお作法が異なることがよく分かりますよね。
向いている担当者は、こうした違いを理解したうえで「自社のターゲットにはどのSNSが最適か」を判断できます。最初からすべてを熟知している必要はありません。大切なのは、各プラットフォームの特性を学ぶ意欲と、学んだことを運用に反映する柔軟性です。
危機管理・炎上対応力はどう身につける?
「炎上を起こさない投稿基準の理解」と「万が一の際に冷静に初動対応できる判断力」、この2つを日頃から準備しておくことで身につきます。
企業SNSにおいて、炎上リスクはゼロにはできません。しかし、事前にガイドラインを整備し、「やってはいけないこと」を明確にしておくだけで、リスクは大幅に下げられます。具体的には、以下の3つを担当者が理解していることが重要です。
1つ目は、投稿前のチェック体制です。政治・宗教・社会的にデリケートな話題に触れていないか、著作権に問題がないかなど、公開前に確認する習慣を持つことが第一歩になります。
2つ目は、ネガティブコメントへの対応方針です。批判的なコメントに対して感情的に反応せず、社内で決められた対応フローに沿って動ける冷静さが求められます。
3つ目は、エスカレーション(上位者への報告・相談)のタイミングです。「自分で対応すべき範囲」と「すぐに上司や広報に報告すべきライン」を事前に決めておくことで、初動の遅れを防げます。
私のクライアントには、月に一度「炎上シミュレーション」として想定ケースを共有し、対応手順を確認している企業もあります。危機管理力は生まれ持った能力ではなく、仕組みと訓練で十分に鍛えられるスキルですよ。
企業SNSで実際に起きた炎上事例や具体的な初動対応のフローについては、「企業SNS炎上の原因と事例まとめ|起きたときの初動対応と防止策【2025年最新版】」でより詳しく解説しています。担当者の研修資料としてもぜひ活用してみてください。
「SNSが好き」だけではなぜ不十分なの?
個人としてSNSを楽しむことと、企業アカウントでビジネス成果を出すことは、目的もプロセスもまったく異なるからです。
「うちの若手はSNSにすごく詳しいから任せよう」——こうした判断をされる企業は少なくありません。私たちSNSCHOOLへのご相談でも、「SNS好きな社員に任せたけれど、思ったように成果が出ない」という声はとても多いんです。
もちろん、SNSが好きであること自体はプラスの要素です。しかし、それだけでは企業の運用を成功に導くには足りません。個人アカウントでフォロワーが多い人でも、企業アカウントとなると勝手が違い、戸惑うケースはよくあります。
では、個人利用とビジネス運用では具体的に何が違うのか。そして、成果を出す担当者はどんな意識で仕事に取り組んでいるのか。この2つを整理していきましょう。
個人利用とビジネス運用の違いとは?
大きな違いは「目的」「責任範囲」「評価基準」の3つです。個人は自由に楽しめますが、企業運用にはブランドを背負う責任と、数値で測られる成果が伴います。
個人のSNSは、好きなことを好きなタイミングで投稿すれば十分です。「いいね」が少なくても、投稿頻度にムラがあっても、誰にも怒られません。
一方、企業SNSでは状況がまったく異なります。主な違いを5つの観点で見てみましょう。

目的
個人は自己表現や交流が中心ですが、企業は認知拡大・集客・採用・ブランディングなど、明確なビジネスゴールがあります。
投稿基準
個人は自分の感性で自由に投稿できますが、企業はブランドガイドラインやトーン&マナーに沿った発信が求められます。
評価指標(KPI)
個人は「いいね」の数で満足できますが、企業はリーチ、エンゲージメント率、コンバージョン数など、目的に紐づいた指標で成果を判断します。
リスク管理
個人の失言は自己責任で済みますが、企業アカウントでの不適切な投稿は会社全体の信用問題に発展する可能性があります。
継続性
個人は気分が乗らなければ休めますが、企業は計画に基づいた定期的な発信を維持する必要があります。
成果を出す担当者に共通する"仕事としての意識"とは?
SNSを「空き時間にやる業務」ではなく「成果を求められるマーケティング施策の一つ」と位置づけられる意識です。
宣伝会議デジタルマガジンが企業のSNS運営担当者に行った取材でも、企業アカウントでは「成果を出す意識」が必要であり、仕事としてSNS運用を捉えられる人が適任だと指摘されています(参照:https://www.sendenkaigi.com/marketing/media/kouhoukaigi/029881/ )。
私の経験上、成果を出し続けている担当者には3つの共通点があります。
業務としてのスケジュール管理ができる
「今日は何を投稿しよう」と毎回ゼロから考えるのではなく、月間の投稿カレンダーを作成し、カテゴリーやテーマをあらかじめ決めておく。こうした仕組み化ができる人は、忙しい中でも安定した発信を続けられます。
PDCAを回す習慣がある
投稿して終わりではなく、数値を振り返り、「次はこうしてみよう」と小さな改善を積み重ねる。派手な施策よりも、この地道なサイクルが中長期の成果につながります。
会社の「顔」としての責任感を持てる
企業アカウントの発言は、会社全体のメッセージとして受け取られます。その重みを理解し、「この投稿は会社としてふさわしいか」と一歩引いて判断できる冷静さが大切です。
こう聞くと、ハードルが高く感じるかもしれません。でも、最初から完璧を目指さなくて大丈夫です。これらの意識は、日々の運用を通じて少しずつ身についていくものですよ。
未経験からでもSNS担当者として活躍できる?【成功事例】
はい、未経験でも適切な学びと戦略設計があれば、十分に活躍できます。ここでは、SNSCHOOLが支援した3社の事例をご紹介します。
「向いている人の条件は分かったけれど、うちにはそんな人材がいない」と感じた方もいるかもしれません。でも、安心してください。最初からすべての適性を兼ね備えている担当者は、ほとんどいません。
大切なのは、伸びしろのある人を選び、正しい方向で育てていくことです。実際に、まったくの未経験からスタートして大きな成果を出した担当者は数多くいます。ここからは、業種も経験もバラバラな3つの事例を通じて、「どんな人がどのように成長したか」を具体的に見ていきましょう。
SNS未経験の60代担当者が初月から成果を出せた理由は?
アルゴリズムの基礎と「誰に・何を・どのように届けるか」という戦略を論理的に学んだことで、年齢やSNS経験に関係なく、初月からスムーズに運用を立ち上げられました。
業界/規模: 住宅改修・サービス(ひむか総合商社株式会社様)/中小企業
課題: 60代の営業担当者が1名でSNS運用を任されたものの、プライベートでもSNSを利用しておらず、何から始めるべきかまったく分からない「ゼロからのスタート」だった。
施策: SNSの各機能の使い方だけでなく、アルゴリズム(投稿が表示される仕組み)の基礎を学習。さらに「誰に届けるか」「何を伝えるか」「どう見せるか」という戦略の軸を論理的に組み立てたうえで運用を開始した。
成果: SNS未経験ながら、運用開始初月から13投稿を達成し、月間800リーチ超を記録。安定した投稿ペースでのスムーズな立ち上げに成功した。
この事例から分かるのは、SNS担当者に「SNS慣れ」は必須条件ではないということです。大切なのは、仕組みを論理的に理解し、戦略に沿って行動できる力。むしろ、個人利用のクセがない分、素直にビジネス運用のセオリーを吸収できた好例と言えます。
経営者自らの発信で200万円案件を受注できたのはなぜ?
自分の「得意な表現スタイル」を理解し、それに合ったプラットフォームを選んだことで、無理なく継続でき、共感を通じて大きな成果につながりました。
業界/規模: 不動産業(株式会社クリエートハウジング様)/中小企業
課題: 経営者自身がSNS運用を担当するため、多忙なスケジュールの中で「継続のしやすさ」と「顧客からの信頼醸成」を両立させる必要があった。
施策: 写真よりも「文章で想いを綴ること」が得意という自身の強みに合わせ、長文投稿との相性が良いFacebookをメイン媒体に選択。顧客事例や経営理念を丁寧に言葉で伝えるスタイルで継続的に発信した。
成果: 経営者の人柄や価値観が伝わる投稿に共感が集まり、SNS経由で200万円規模の案件受注に成功した。
この事例のポイントは、「すべてのSNSを万遍なくやる」のではなく、自分の強みと媒体の特性をマッチさせた点です。文章が得意ならFacebook、写真が得意ならInstagram、短い動画に抵抗がなければTikTokといったように、担当者の持ち味を活かせるプラットフォームを選ぶことが、継続と成果の両立につながります。
「中の人」運用で売上の1/5をSNS経由にできた秘訣は?
宣伝ではなく「寄り添うコミュニケーション」を徹底したことで、ユーザーとの深い信頼関係が生まれ、売上に直結する集客チャネルへと成長しました。
業界/規模: 人材紹介(メディカルキャリア様)/中小企業
課題: 若年層の集客強化と、広告費を抑えた効率的な売上貢献の実現が求められていた。
施策: 各担当者が「中の人」として日常の出来事や仕事への想いを発信。さらに、ターゲットとなるユーザーへの能動的なリプライやDMでの丁寧な対応など、双方向のコミュニケーションを徹底した。
成果: SNS(主にX)経由の売上が全体の1/5〜1/7を占めるまでに成長。採用獲得単価の大幅な抑制にも成功した。
この事例で注目すべきは、「企業の宣伝」に終始しなかったことです。商品やサービスの告知ばかりではフォロワーの心は動きません。担当者が一人の人間としてユーザーに寄り添い、能動的に対話を楽しんだからこそ、代行会社には出せない"人の温度"が伝わり、信頼が売上に変わりました。
3つの事例に共通するのは、「最初から完璧な担当者だったわけではない」という点です。未経験でも、多忙でも、ゼロからでも、正しい方向性と自分の強みを活かすアプローチがあれば成果は出せます。
大切なのは、「誰を担当者に選ぶか」と同時に、「選んだ担当者をどう育てるか」という視点を持つこと。御社にも、まだ気づいていないだけで、SNS担当者の適性を秘めた人材がきっといるはずですよ。
担当者の具体的な育成ステップについては、「SNS運用担当者の育成方法|未経験でも6ヶ月で自走できる仕組み」で詳しく解説しています。
自社に最適なSNS担当者を選ぶにはどうすればいい?【5ステップ】
「運用目的の明確化→必要スキルの洗い出し→社内候補者の棚卸し→テスト運用→育成体制の構築」の5ステップで進めると、感覚に頼らない担当者選定ができます。
ここまで、向いている人の特徴やスキル、事例をお伝えしてきました。「だいたいイメージはつかめた。でも、具体的にどう選べばいいの?」という段階に来ている方も多いのではないでしょうか。
担当者選びでよくある失敗は、「SNSに詳しそうだから」「若いから」といった印象だけで決めてしまうこと。こうした属人的な判断ではなく、ステップを踏んで進めることで、自社に合った人材を見極められるようになります。
一緒に整理していきましょう。
ステップ1:運用の目的とKPIを明確にする
最初にやるべきことは、「SNSで何を実現したいのか」をはっきりさせることです。
目的が定まらないまま担当者を選んでしまうと、選定基準そのものがあいまいになります。たとえば、目的が「採用広報の強化」なのか「既存顧客との関係構築」なのかで、担当者に求められる適性はまったく変わります。
目的を設定したら、それに紐づくKPI(重要業績評価指標)も決めておきましょう。「フォロワー数を3か月で500人増やす」「月間のDM問い合わせ件数を10件にする」など、具体的な数値目標があると、後から担当者の成果を正当に評価しやすくなります。
この段階では完璧な目標でなくても大丈夫です。まずは「何のためにやるのか」を経営層と現場で共有しておくことが重要です。
ステップ2:必要なスキルと適性を洗い出す
目的が決まったら、その達成に必要なスキルと適性をリストアップします。
すべてを高いレベルで備えている人を探す必要はありません。「必須の条件」と「あれば望ましい条件」に分けて整理するのがポイントです。
たとえば、Instagram運用で集客を目指す場合を考えてみましょう。「必須」はビジュアルに対する感度やユーザー目線での企画力。「あれば望ましい」は写真撮影のスキルやデータ分析の経験、という形で優先順位をつけられます。
この記事の前半でご紹介した7つの適性(ユーザー視点・データ分析力・コミュニケーション力・継続力・コンテンツ企画力・危機管理力・プラットフォーム理解)を参考に、自社の目的に合わせて重み付けしてみてください。
ステップ3:社内候補者の強みを棚卸しする
必要なスキルが見えてきたら、社内の候補者一人ひとりの「強み」を棚卸しします。
ここで大切なのは、「SNSの経験があるか」だけで判断しないことです。事例セクションでもご紹介したとおり、SNS未経験の60代の方でも、論理的に学ぶ力があれば初月から成果を出せました。
候補者を検討するときは、日頃の業務で見られる特性に注目してみてください。「お客様とのやりとりが丁寧な人」はコミュニケーション力がある証拠ですし、「売上データを自分から分析している人」はデータドリブンな素養を持っています。「社内報をいつも楽しそうに書いている人」はコンテンツ企画力が期待できます。
SNSスキルそのものよりも、こうした"原石"の能力に目を向けることが、良い担当者を見つけるコツです。
ステップ4:テスト運用期間を設けて適性を見極める
候補者が絞れたら、いきなり本格運用に入るのではなく、1〜2か月のテスト運用期間を設けましょう。
テスト運用のメリットは、「実際にやってみないと分からない適性」を確認できることです。候補者が複数いる場合は、それぞれに異なるプラットフォームやテーマを担当してもらい、比較する方法もあります。
テスト期間中に見るべきポイントは3つです。1つ目は投稿の継続性。決められたスケジュールどおりに投稿できているか。2つ目は改善意欲。投稿の反応を見て自分なりに工夫しようとしているか。3つ目は楽しんでいるか。義務感だけで続けている人と、運用に面白さを見出している人では、中長期の成長に大きな差が生まれます。
テスト運用は担当者にとってもメリットがあります。「自分に合っているか」を本人自身が確認できるため、本格運用に移行する際の納得感が高まります。
ステップ5:育成体制とサポート環境を整える
担当者が決まったら、その人が成長し続けられる環境を整えることが最後のステップです。
担当者選びはゴールではなく、スタートラインです。どんなに適性がある人でも、一人で抱え込むと疲弊してしまいます。
具体的には、以下の3つの環境づくりが効果的です。
定期的な振り返りの場を設ける。 週次または月次で、投稿の成果や課題を上司やチームと共有する機会を作りましょう。担当者の孤立を防ぎ、組織としてSNS運用に関わる意識を高められます。
学びの機会を支援する。 SNSのトレンドやアルゴリズムは変化が早いため、外部セミナーへの参加や業界の最新情報をキャッチアップする時間を業務として確保しましょう。
段階的に権限を広げる。 最初は承認フローを設けてリスクを管理しつつ、担当者の成長に合わせて裁量を広げていく。信頼と自主性のバランスが、担当者のモチベーション維持につながります。
「選ぶ」だけでなく「育てる」視点を持つこと。これが、SNS運用を一過性の取り組みではなく、会社の資産にしていくための鍵です。
未経験の担当者を6ヶ月で自走させるための具体的な育成プロセスは、「SNS運用担当者の育成方法|未経験でも6ヶ月で自走できる仕組み」をあわせてご覧ください。
よくある質問
SNS担当者は若い社員に任せるべきですか?
年齢だけで判断する必要はありません。若い社員がSNSに慣れている傾向はありますが、企業アカウントの運用で求められるのはビジネス視点での発信力です。
「SNS=若者のもの」というイメージから、20代の社員をそのまま担当に指名するケースはよくあります。しかし、この記事でもご紹介したとおり、60代の未経験者が初月から成果を出した事例もあります。
大切なのは、年齢ではなく「ユーザー目線で考えられるか」「数値をもとに改善できるか」「継続して取り組めるか」といった適性です。むしろ、業界経験が豊富なベテラン社員の方が、ターゲット顧客の悩みを深く理解しているぶん、刺さるコンテンツを企画できることもあります。
年齢にとらわれず、この記事でお伝えした7つの適性を基準に判断してみてください。
SNS担当者は専任と兼任、どちらがいいですか?
理想は専任ですが、リソースに限りがある中小企業では兼任からスタートするのが現実的です。
専任のメリットは、投稿の質と頻度を安定して維持できることです。一方で、従業員20〜200名規模の企業では、SNS運用だけに1名を割くのが難しいケースがほとんどでしょう。
兼任で始める場合のポイントは、「SNS運用に使う時間」を業務として明確に確保することです。「空いた時間にやる」という位置づけでは、ほぼ確実に後回しになります。たとえば「毎週火曜と木曜の午前中はSNS業務に充てる」とスケジュールをブロックするだけでも、継続性が大きく変わります。
まずは兼任で始めて成果が見えてきたら、段階的に専任化を検討する——この進め方がもっとも無理のないステップです。
兼任担当者が少人数で成果を出すための具体的な運用法は、「中小企業のSNS担当入門|少人数で成果を出す運用法」で詳しく解説しています。
SNS担当者に資格は必要ですか?
資格は必須ではありません。ただし、体系的に知識を学ぶ手段として活用するのは有効です。
SNS運用に特化した国家資格は現時点で存在しません。民間の資格やSNSプラットフォームが提供する認定プログラム(Meta Blueprint等)はありますが、取得していないと運用できないわけではありません。
資格よりも重要なのは、実践で身につく「投稿→分析→改善」のサイクルを回す力です。私の経験上、資格の有無と運用成果の間に強い相関があるとは感じていません。
とはいえ、まったくの未経験者が基礎知識を体系的に学ぶきっかけとしては、認定プログラムや外部講座は役立ちます。資格そのものに価値を求めるよりも、「学びのきっかけ」として活用するのがおすすめですよ。
SNS担当者のモチベーションを維持するにはどうすればいいですか?
「成果の見える化」「適切な評価」「孤立させない体制」の3つが、モチベーション維持の柱になります。
SNS運用は成果が出るまでに時間がかかるため、担当者が途中で「本当に意味があるのかな」と不安になるのは自然なことです。クライアントからも「担当者のやる気が続かない」というご相談をいただくことがあります。
まず効果的なのは、小さな成果を見える化することです。「先月よりリーチが20%増えた」「フォロワーからこんなコメントがもらえた」など、数値だけでなく定性的な反応も含めて振り返ると、日々の積み重ねが実を結んでいる実感が持てます。
次に、人事評価への反映も検討してみてください。SNS運用を「ついでの仕事」ではなく、正式な業務目標として設定し、成果を評価に組み込む。これだけで、担当者の取り組み姿勢は大きく変わります。
最後に、担当者を孤立させないことです。月に一度でもいいので、上司やチームメンバーと運用の状況を共有する場を作る。「見てくれている人がいる」という安心感が、継続の大きな支えになりますよ。
まとめ
この記事では、「SNS担当者に向いている人」の特徴を7つの適性から整理し、担当者の選び方から育て方までを解説しました。最後に、押さえておきたいポイントを振り返りましょう。
- SNS担当者に向いている人には7つの適性がある。 ユーザー視点・データ分析力・コミュニケーション力・継続力・コンテンツ企画力・危機管理力・プラットフォーム理解。すべてを最初から備えている必要はなく、強みを活かしながら段階的に伸ばしていくことが大切です。
- 「SNSが好き」だけでは企業運用は成功しない。 個人利用とビジネス運用は目的もプロセスもまったく異なります。成果を出す担当者に共通するのは、SNSを「仕事としてのマーケティング施策」と捉え、PDCAを回し続けられる意識です。
- 未経験でも、正しい方向性とサポートがあれば成果は出せる。 60代のSNS未経験者が初月から成果を出した事例、経営者の強みを活かして200万円案件を受注した事例など、スタート地点は関係ありません。「誰を選ぶか」と同時に「どう育てるか」の視点が成功の鍵になります。
- 担当者選びは5ステップで進める。 目的・KPIの明確化→必要スキルの洗い出し→社内候補者の棚卸し→テスト運用→育成体制の構築。感覚ではなく、仕組みで選ぶことが失敗を防ぎます。
SNS運用は、正しい人選と環境づくりで成果が大きく変わります。「うちには適任者がいない」と諦めるのではなく、社内に眠っている"原石"を見つけて磨いていく。その一歩を、ぜひ今日から踏み出してみてください。
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