TikTokショップが日本でも開始!主要機能や始め方について詳しく解説

「TikTok」が2025年6月に日本でショッピング機能「TikTok Shop」を正式開始しました。
月間アクティブユーザー数が3,300万人を超える巨大プラットフォームにおいて、動画視聴から購入までをアプリ内で完結できる新しいEC体験が日本に上陸し、企業や個人セラーから大きな注目を集めています。
海外では既に中国で約54兆円、東南アジアでも急成長を遂げているTikTokショップが、いよいよ日本市場でどのような可能性を秘めているのでしょうか。
本記事では、TikTokショップの開設方法から機能の特徴、海外成功事例まで解説します。
TikTokショップとは?【日本では2025年6月開始】

TikTokショップの概要と特徴
TikTokショップは、TikTokアプリ内で動画視聴から商品の発見・購入まですべて完結できるソーシャルコマース機能です。従来のECサイトとは異なり、ユーザーがエンターテインメントコンテンツを楽しみながら、自然に商品と出会い購入できる「発見型ショッピング」を実現しています。
最大の特徴は、動画コンテンツとEC機能の融合にあり、投稿動画やライブ配信を視聴中に表示される商品リンク(商品カード機能)をタップすると、そのまま商品詳細ページから購入手続きまで進められます。
外部のECサイトへ移動する必要がないため、興味を持ったその瞬間に“買いたい”という衝動をスムーズに購買につなげるシームレスな体験を提供します。
日本での開始までの流れ
TikTokショップの日本展開は、段階的に準備が進められてきました。2024年初頭には一部企業・個人セラーによるベータテストが実施され、コスメ・ファッション・ペット用品などのカテゴリで試験運用が行われました。
2025年4月には、TikTokが日本向けプライバシーポリシーに「ショッピング機能」に関する記述を追加し、正式ローンチが目前に迫っていることが業界で注目されました。そして予告通り2025年6月、TikTokショップが日本で正式にサービス開始となりました。
サービス開始に向けて、支援体制を整える企業や代理店も続々と登場しています。インフルエンサーマーケティング支援のUUUMやGMOペパボ、AnyMind Group、オプト、など多数の企業が、TikTok Shop参入企業向けのコンサルティング・運用代行サービスを発表しました。
TikTokショップの主要機能とメリット

新設されたTikTokショップには様々な機能があります。それぞれの機能について詳しく解説します。
1.アプリ内完結のEC機能
TikTokショップ最大の特徴は、動画視聴から商品の発見・購入までをすべてTikTokアプリ内で完結できる点にあります。ユーザーは投稿動画やライブ配信を楽しみながら、画面上に表示される商品リンクをタップして詳細ページを閲覧し、そのまま購入手続きに進むことができます。
この仕組みにより、従来のECサイトのように「検索して買う」のではなく、「動画で出会って買う」という新しい購買体験が生まれ、ユーザーがエンターテインメントコンテンツに没頭している最中に自然に商品と出会えるため、購買意欲が高まった瞬間を逃すことなく売上につなげられるメリットがあるといえるでしょう。
2.ライブコマース機能(LIVE Shopping)
TikTokショップでは、ライブ配信でのリアルタイム販売と短尺動画での商品紹介の両方が可能です。
ライブコマースでは、配信者(ブランド公式やインフルエンサー)が視聴者と双方向にやり取りしながら商品を実演・宣伝し、視聴者はコメントで質問したり、気に入ればその場で購入ボタンを押したりできます。
視聴者同士が「今買った!」などとコメントする様子や、配信者からのリアルタイム回答・勧奨が購買の後押しとなり、まるでテレビショッピングの現代版とも言えるような熱気が生まれます。
3.ショッパブル動画(Shoppable Video)
ショート動画(縦型動画)の場合でも、商品の魅力を冒頭数秒で引き付ける演出を施すことで視聴者の「これ欲しい!」という衝動を喚起し、そのまま商品ページ閲覧・購入へ誘導できます。
「Shoppable Video」は、動画内に表示される商品タグから、視聴者がそのまま商品ページへアクセスできる便利な機能です。
投稿動画内への商品タグ埋め込みや動画視聴中のワンタップアクセスが可能で、ショート動画でも商品の魅力を効果的に伝え、視聴の瞬間に購買行動を促進させることができます。
4.ショップタブ機能
ショップタブ機能は、TikTokプロフィールに「ショップ」が表示され、出品商品一覧を閲覧・購入できる機能です
この機能により、クリエイターやブランドのプロフィール画面から直接商品にアクセスできます。
ショップタブ機能により、プロフィール経由での購買導線を設置することでフォロワーやファン層への直接販売が可能となります。
5.アフィリエイト・クリエイター連携機能
アフィリエイトプログラムを活用することで、TikTokショップを幅広い層にリーチしたり、クリエイターのファンの態度変容を促したりすることを期待できます。
TikTokショップでは、クリエイターが商品を紹介して販売に貢献した場合、販売者がそのクリエイターに報酬を支払う仕組みが整備されています。
例えば、インフルエンサーが商品レビュー動画やライブ配信で紹介し、視聴者が商品リンク経由で購入すると報酬が発生します。
6.決済・物流機能
TikTok内ですべてのEC工程を完結させることができる機能で、購入手続きはTikTokアプリ内で完結。
現在、海外では注文・支払い処理はTikTok側が代行し、販売者は商品を発送するだけでよい仕組みが提供されています。
また、保管と発送などもTikTok側でやってくれるため、在庫管理の面でも手間が減るのがメリットになっています。
一部地域では「Fulfilled by TikTok(FBT)」サービスも開始されており、TikTokが販売者に代わって在庫保管・梱包・配送まで請け負う物流代行を展開しています。
7.広告連携機能(GMV Max)
TikTok Shopに対応した広告ソリューション「GMV Max」も展開予定のようです。
GMV Maxは、TikTokショップ出店者向けのパフォーマンス広告で、「Product GMV Max」(ショート動画対応)と「LIVE GMV Max」(ライブ配信対応)の2種類が提供される想定です。
既存のオーガニック動画クリエイティブやLIVE配信コンテンツを自動で取り込むことができたり、オーガニックトラフィックやアフィリエイトトラフィックのシグナルと広告データを統合して、広告のパフォーマンス最適化が可能とされています。
TikTokショップの始め方とは

TikTokショップの始め方について解説します。
審査には通常1〜3営業日かかりますが、書類に不備があるとさらに時間がかかるため注意が必要です。
事前に準備が必要なもの
TikTokショップを開設するには、まず基本的な事業者情報と必要書類を準備します。法人の場合は法人登記簿謄本、個人事業主の場合は開業届や確定申告書などの事業証明書類が必要です。
また、個人事業主の場合はアカウント名を登録名と同じに、法人の場合は会社名と同じにする必要があります。
個人事業主の場合 | 法人の場合 |
本人確認書類(運転免許証・パスポート・マイナンバーカード・その他政府発行の身分証明書) | 代表者の本人確認書類(運転免許証・パスポート・マイナンバーカード) |
法人の事業証明書類(登記簿謄本・営業許可証・法人設立届出書の控え) |
また、商品を販売するための各種許可証。化粧品を扱う場合は化粧品製造販売業許可、食品を扱う場合は食品衛生法に基づく許可など、取り扱う商品カテゴリに応じた適切な許可証を事前に取得しておく必要があります。
特定商取引法への対応も不可欠で、事業者名・所在地・連絡先・返品ポリシーなどの表示義務を満たす準備をしておきましょう。
海外の事例を見ると、プラットフォーム側から詳細なガイドラインが提示されることが多いため、TikTok側が用意する販売者向けの規約やガイドラインを事前によく確認することが重要です。
TikTokショップの具体的な開設方法
実際の開設手続きは、TikTok Seller Centerから進めTikTokアカウントまたはメールアドレス/電話番号で新規登録します。
前提として以下の情報があることが必須となります。
- 有効なメールアドレスまたは電話番号
- TikTokアカウント(個人アカウントでOK)
- 18歳以上であること
- 日本国内の住所
- 日本国内の銀行口座
また、商品登録では、商品名・価格・在庫数・商品画像・説明文などの基本情報に加え、TikTok特有の「商品紹介動画」の制作が重要になります。
店舗プロフィールの設定では、ブランドストーリーや取り扱い商品の特徴を魅力的に表現し、フォロワー獲得につなげる工夫が必要です。
ステップ1:TikTok Seller Centerへの登録
まずは、TikTok Seller Centerへの登録を行う必要がありますが、組織アカウントは使用不可となっている点については注意しましょう。
- Seller Centerにアクセス
- アカウント作成
- TikTokアカウントでログイン
- または新規にメールアドレス/電話番号で登録
- 国の選択
- 「日本」を選択
- 「入力」をクリック
ステップ2:ショップ基本情報の設定
- ビジネスタイプの選択
- 「法人」または「個人事業主」を選択
- 個人販売の場合は個人名を設定
- ショップ情報の入力
- ショップ名(後から変更可能)
- 主な商品カテゴリー
- 事業内容の説明
ステップ3:倉庫・集荷先の設定
- 住所情報の入力
- 国または地域:日本
- 事業所の番地
- 郵便番号
- 担当者情報
- 問い合わせ担当者の氏名
- 電話番号
- 返送先の設定
- 倉庫/集荷先を返送先として設定
- または別途返送先住所を指定
- 利用規約への同意
- 利用規約を確認しチェック
- 「ビジネスを開始」をクリック
ステップ4:書類認証
書類認証では個人事業主・法人それぞれ本人確認を行う必要があります。
- 認証画面へ移動
- Seller Centerホームページから「書類を認証」をクリック
- 「書類をアップロード」をクリック
- 販売者情報の選択
- ビジネスタイプを再選択(法人/個人事業主)
- ショップ名を確認
- 書類のアップロード個人事業主の場合
- 身分証明書の表・裏両面を撮影
- 画像が鮮明で文字が読み取れることを確認
- 法人の場合
- 代表者の身分証明書
- 登記簿謄本または営業許可証
- すべて鮮明な画像でアップロード
- 提出と審査待ち
- 「送信」をクリック
- 審査結果をメールで待つ(通常1-3営業日)
ステップ5:銀行口座の連携
審査通過後に以下の手順を進めて、銀行口座の連携を進めましょう。
- 銀行情報の入力
- Seller Centerから「銀行口座の連携」をクリック
- 「アカウントの連携」をクリック
- 必要情報の入力
- アカウント名:
- 個人事業主:登録名と同じ名前
- 法人:会社名と同じ名前
- 銀行名
- 銀行口座番号
- メールアドレス
- 住所・部屋番号
- アカウント名:
- 情報確認と送信
- 入力内容を確認
- 「送信」をクリック
ステップ6:商品登録の準備
すべての設定完了後に具体的には商品情報の登録、画像・動画のアップロード、価格・在庫の設定などTikTokショップでの運用が可能となります。
海外成功事例から学ぶTikTokショップの可能性とは

海外ではすでにTikTokショップが展開されており、日本でも今後TikTokショップが流行するという見立てがされています。
中国(Douyin)での爆発的成長事例
TikTokの本家にあたる中国版「抖音(Douyin)」では、ショート動画ECとライブコマースが既に巨大市場に成長しています。Douyinは2018年頃からいち早くEC機能を統合し、2023年のEC取扱高(GMV)は約2.7兆人民元(約54兆円)に達したと報じられています。
2024年には内部目標として4兆元(約80兆円)ものGMVを掲げているとも言われ、アリババや京東(JD.com)と肩を並べる中国ECの一大プレイヤーになりました。
ユーザーは日常的にDouyinで娯楽コンテンツを消費する中で、自然と商品と出会い購入する行動が定着しており、「検索して買う」から「動画で出会って買う」へのパラダイムシフトが起きています。
また、中国におけるTikTokショップ(Douyin電商)で特に成功しているのは美容・コスメやファッション(アパレル)分野で、有名インフルエンサーが口紅や美容液をライブ配信で紹介すると数分で在庫が完売するといった現象が相次ぎ、美容・ファッション領域が売上の中核を占めています。
東南アジア市場の成功パターン
TikTokショップは東南アジア諸国でも急速に普及し、大きな成功を収めています。
特にインドネシアは人口約2.7億人を抱える地域最大のEC市場であり、TikTokにとって最重要市場の一つです。インドネシアのTikTokユーザー数は世界第2位で、2023年時点で1億人を超えるとも報じられています。
同国では18~34歳のZ世代・ミレニアル世代が主力ユーザーで、男女比は女性約60%・男性40%と推定されています。特にファッション(衣料)やコスメへの関心が高く、TikTok Shopで人気のカテゴリも自然とファッション・美容系が中心となっています。
マレーシアでもTikTokショップは目覚ましい成長を遂げています。2024年上半期(1〜6月)の売上高は前年同期比で2.2倍に拡大し、出店セラー数やアフィリエイト参加クリエイター数もそれぞれ1.8倍に増加したと報じられています。
マレーシアでは「送料無料クーポンの無制限スタック適用」という大胆な施策を導入しており、ユーザーは複数の割引クーポンや配送無料券をまとめて一度の購入に使えるため、非常にお得に買い物ができるようになっています。
まとめ
TikTokショップの日本上陸は、約20兆円規模とも言われる日本のEC市場が“動画ネイティブ世代”によって刷新される、歴史的な転換点だと言えるでしょう。海外での爆発的成功事例が示すように、「検索して買う」から「動画で出会って買う」へのパラダイムシフトが日本でも起きる可能性があります。
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