さいとう元彦氏から学ぶ最適なSNS運用から炎上まで

※本記事は、兵庫県知事選の選挙活動におけるSNS活用の事例を客観的な視点から分析したものです。特定の政治的立場や主張を支持・推奨する意図はございません。

2024年11月に実施された兵庫県知事選挙では、立候補者のさいとう元彦氏が約111万票を獲得し当選しました。現在、さいとう氏のSNS活動が公職選挙法違反に当たるのではないかという議論が注目されていますが、その真偽については断定できません。

しかし、さまざまな報道がされている中、さいとう氏が当選した背景には、SNSを活用した影響力が大きいといわれています。

そこで本記事では、SNSマーケティングの観点から、さいとう氏のSNSの投稿分析と緻密な戦略を徹底解説します。SNSを活用した集客・採用に関する知識を深めたいと考えている担当者様はぜひ参考にしてください。

炎上している背景

さいとう氏が炎上しているきっかけは、さいとう氏を支援したPR会社の経営者が投稿した投稿プラットフォーム「note(ノート)」の内容にあります。

noteでは、SNS運用の戦略や企画などを手がけたと記載されていました。投稿後、インターネットでは「有償で請け負っていた場合、公職選挙法違反に抵触するのではないか」という批判があがりました。

その真偽については断定できません。

しかし、さいとう氏のSNS運用はマーケティングの観点から見ると複数の効果的な要素を含んでいると考えられます。そこで以下では、さいとう氏のSNS運用について分析します。

さいとう氏のSNS活動における成果

さいとう氏が活用したSNSのフォロワー推移をまとめると下記のとおりです。

媒体運用期間増加推移
X(本人アカウント)2024年9月末~11月20日約16万5000人
X(応援アカウント)2024年10月7日~11月20日約6万4000人
Instagram2024年9月末~11月20日約2万8000人
YouTube2024年10月11日~11月20日4万8300人

マーケティング観点でのさいとう氏のSNS運用の分析

さいとう氏のSNSを活用した投票までの動線設計をマーケティングファネルに当てはめて、解説していきます。

マーケティングファネルとは、顧客が商品を認知してから興味を抱き、購入に至るまでの過程を表現したモデルです。

上記のモデルに有権者がさいとう氏の投票するまでの導線を当てはめると、次のようになります。

①ネット記事・テレビなどでさいとう氏が取り上げられる。
②X・Instagramでさいとう氏を調べる。
③SNSの投稿でさいとう氏の人柄・政策を知る。
④Xでの継続的な投稿・精力的なYouTubeライブで継続的に情報を収集し、さいとう氏独自の魅力を見出す。
⑤手ぶらで投票に行けることを知る。

今回紹介した例はあくまでも一例ですが、SNSの特性をよく理解して動線を設計しており、SNS間の誘導もストレスがない形で設計されています。

さいとう氏のSNS運用の4つの特徴

各媒体で発信内容を使い分けており、分析したところ次の特徴が見られました。

媒体発信内容
X(本人アカウント)さいとう氏本人視点での投稿〇〇へ行きましたなどの「実績」の投稿
X(応援アカウント)有権者との写真投稿ユーザーとのコミュニケーション
InstagramXに投稿したものを流用して投稿リールで演説風景を投稿
YouTube政策発表※1本YouTubeライブで有権者とコミュニケーション

上記のSNS運用から各媒体に共通して見られる特徴は、大きくわけて4つあります。それぞれ詳しくみていきましょう。

1.告知感の少ない投稿文

Xの本人アカウントでは、投票の告知ではなく演説した場所などの実績を報告しています。投票をお願いするなど「告知感」がなく、ユーザーが発信内容を追いかけたくなるような投稿づくりの工夫が見られます。

また、返信欄にてYoutubeライブへ誘導している点も特徴です。

YouTubeライブに参加してほしい層を情報収集層と位置づけ、より深い情報を求める情報収集層へのアプローチを図っていると推測できます。

2.人柄の伝わる画像

さいとう氏のSNS運用は、画像を使った親しみのある投稿内容が特徴でした。下記は具体例です。

  • お昼に食べたもの
  • 有権者との写真

SNSの中では硬いイメージが付きやすいため、画像で人柄を伝え、県民に寄り添っていることをアピールしました。

3.潜在層をファン化に導く動画

さいとう氏のYouTubeでは、政治に関する発信だけでなく、人となりがわかるような話題をテーマにしていました。

この動画では、選挙カー乗車時は、コンビニのおにぎりを食べていて挨拶ができないことが多いなど、裏側を話しています。

さいとう氏の政策に関心の薄い層も興味を抱く内容となっていました。

4.印象づけさせるハッシュタグ選定

さいとう氏のSNS運用では、いずれの媒体でも、2つのハッシュタグを設定し使用していました。

#さいとう元知事がんばれ
#兵庫の躍動を止めない

このハッシュタグは、公式で一本化されたハッシュタグです。その意図を、支援として入られていた折田氏の記事を引用し、ご紹介させていただきます。

「当時、様々なアカウントで多種多様なハッシュタグが使用されており、公式としてタグを一本化して発信することで、応援の流れに方向性を提供する必要があると考えました。また、タグが統一されてポスト数が増えていくことで、アルゴリズムにも有利に働くため、急速な支援の輪の広がりも期待できます。」
引用:折田 楓『兵庫県知事選挙における戦略的広報:「#さいとう元知事がんばれ」を「#さいとう元彦知事がんばれ」に』note  (2025年1月15日閲覧)

ハッシュタグを1つに設定することで、どのSNSからでも投稿者の情報を追いやすくなり、拡散の向上、ファン化が期待できます。なお、ハッシュタグの1本化する際は、表記ゆれしづらい言葉にするなどの配慮が重要です。

まとめ

ここまで、さいとう氏のSNS運用や投稿内容について解説してきました。

現在、斎藤氏のSNS活動が公職選挙法違反に当たるのではないかという議論が注目されていますが、その真偽については断定できません。

私たちとしては、一視聴者として情報の一側面だけにとらわれるのではなく、多面的な視点を持つことが重要です。SNSやネット上の情報だけでなく、テレビや新聞などの他のメディアからも情報を収集し、客観的な判断をするための材料を増やしていただければ幸いです。

情報が溢れる現代だからこそ、冷静に事実を見極め、多角的に物事を捉える姿勢が大切です。多面的な視点を持って、疑いの目を持ちながら情報に触れていっていただけたらと思います。

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