企業SNS運用体制の作り方｜成果を出す組織づくりと生産性向上のコツ

「SNS運用を外注しているが、社内で組織化したい」
「SNS運用を始めたいけど、体制を0から作り上げるのが大変」
「企業のSNS運用体制を見直したい」

企業の規模によってはSNS運用担当者が複数になることも多くあります。InstagramやTiktokといったクリエイティブ性を求められるSNSの運用では撮影者、デザイナー、動画編集者、投稿者といったように役割分担が必要になることもしばしば。

しっかりと社内チームを組織化しておかないと、いつのまにか運用が止まっていたり、ターゲットに合ったクリエイティブがなかなか作れないなど問題が発生します。

そこで本記事では、企業のSNS運用における組織化の課題と解決策を、実践的なアプローチで解説します。

BESWが運営しているSNSCHOOLでは企業のSNS運用を10年近くにわたって支援しています。のべ700社以上のSNSを運用してきたノウハウを基に、正しい企業SNS運用の組織体制の作り方を解説します。

この記事を読むことで、以下が分かります。

• SNS運用における組織的な課題の本質
• 効率的な運用体制の構築方法
• すぐに実践できる改善ステップ

SNS運用の内製化を充実させたい担当者の方はぜひ参考にしてください。

SNSCHOOLでは月5万円～の費用感で企業のSNS運用支援を行っています。サービスについて知りたい方はぜひこちらから資料をダウンロードしてみてください。

企業SNS運用でよくある組織の問題点

企業がSNSを活用して成果を出すには、戦略だけでなく「組織体制の整備」が欠かせません。
しかし実際には、社内の運用フローや責任範囲が曖昧なまま進めてしまい、思うように成果が出ないケースが多く見られます。

SNS運用の現場で特に頻発する3つの組織的課題を紹介します。

属人化による業務停滞

SNS運用が一部の担当者に依存してしまう「属人化」は、多くの企業が抱える課題です。
投稿や分析、コメント対応などをすべて一人に任せていると、その担当者が休職・退職した際にアカウントが更新できなくなるリスクがあります。

具体的には以下のような問題が起こりがちです。

• アカウントやパスワードを担当者以外知らない
• 投稿のノウハウが文書化されていない
• 代替担当者がいない

SNSは継続的な投稿によってアルゴリズム上の評価を高めていく仕組みです。更新が途絶えるとフォロワー離脱やリーチ低下につながるため、複数人での管理体制や業務マニュアル化が不可欠です。

部門間の連携不足

次に多いのが、部署間の情報共有不足です。
SNS運用は、マーケティング部や広報部、企画部、さらには人事部など複数部署が関わることが多く、意思疎通が不十分だと運用が滞りがちになります。

• 情報共有が遅れ、投稿タイミングを逃す
• 投稿内容の承認に時間がかかる
• 緊急時の対応部署やフローが決まっていない

このような連携ミスが続くと、スピーディーな発信ができず、炎上リスクやチャンス損失につながることもあります。

定例ミーティングや共有ドキュメントの運用など、部署間の連携を仕組み化することが重要です

不明確な権限

最後に、権限が曖昧なまま運用してしまうケースも少なくありません。
「誰が投稿を承認するのか」「トラブル発生時に誰が判断するのか」が決まっていないと、SNSの更新が止まったり、炎上対応が後手に回ったりします。

具体的なリスクとしては以下のようなものがあります。

• 投稿内容の可否を判断する基準がない
• 炎上時の初動対応者が不明確
• 承認フローが複雑でスピード感が失われる

こうした混乱を防ぐためには、「運用責任者」「投稿担当者」「チェック担当者」などの役割を明確化し、ルール化することが欠かせません。

SNS運用はスピードと正確性の両立が求められる業務です。誰がどの範囲で決裁・対応できるのかを事前に明示しておくことで、トラブルを最小限に抑えられるようにしましょう。

成功するSNS運用体制の作り方

SNS運用を成功させる第一歩は、「どのような組織体制で運用するか」を明確にすることです。
企業の規模や目的によって最適な体制は異なりますが、大きく分けると「専任チーム制」と「兼任チーム制」の2つがあります。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社のリソース状況に合わせて選ぶことが重要です。

	メリット	デメリット
専任チーム制	専門性が高く、スピーディーな運用が可能	人件費・教育コストが高い
兼任チーム制	既存メンバーで始められ、コストを抑えられる	他業務との兼任でリソース不足になりやすい

それぞれ具体的に解説します。

専任チーム制

専任チーム制とは、SNS運用に特化した担当部署やメンバーを配置し、専門的に運用を行う体制のことです。
海外の大手企業では、数十名規模の専任チームを編成し、投稿内容の企画、撮影、分析、広告運用までを分業で行うケースも少なくありません。

日本企業でも、SNSの影響力が高まる中で専任制を導入する企業が増えています。

• 担当者の人選：マーケティング知識や商品理解があり、ブランドのトーンを的確に伝えられる人材を選ぶ。
• チーム運営：属人化を防ぐために、複数人でのチェック・投稿体制を構築する。

専任チーム制は初期コストこそかかりますが、一貫したブランド発信とデータ分析による改善ができるため、長期的にはROI（投資対効果）の高い体制といえます。

兼任チーム制

一方で、従業員規模が小さい企業や、SNS運用を試験的に始めたい段階では、兼任チーム制が現実的な選択肢です。
既存の広報・マーケティング担当がSNS運用も兼ねる形で進めるため、人件費を抑えつつスピーディーに始められるメリットがあります。

ただし、他業務と並行して運用する場合、更新頻度が落ちたり、分析や改善の手が回らなくなったりするリスクもあります。
そのため、以下のような工夫が重要です。

• 投稿カレンダーを作成し、更新を習慣化する
• 投稿テンプレートを整備して時間を短縮する
• 週1回のミーティングで運用状況を共有する

兼任制でスタートし、成果が見え始めた段階で専任チーム制へ移行する企業も多くあります。
リソースに応じて段階的に体制を強化していくことが、継続的な成果につながる鍵です。

企業のSNS運用を効率化させる4つのコツ

企業がSNSを運用する際に最も多い課題が、「リソース不足による非効率化」です。
投稿や分析、コメント対応など、日々の細かいタスクが積み重なり、担当者の残業やモチベーション低下を引き起こすケースも少なくありません。

ここでは、SNS運用チームの生産性を高めるための4つの実践的なコツを紹介します。

コンテンツカレンダーの設計

コまず取り入れたいのが「コンテンツカレンダー」です。
SNSの投稿スケジュールを一覧化し、「誰が・いつ・どんな投稿をするのか」を可視化することで、チーム内の混乱や抜け漏れを防ぐことができます。

カレンダー設計のポイントは次の3つです。

• 投稿内容のジャンルを色分けして整理する
• 社内イベントやキャンペーンなど、関連する社外スケジュールも記載する
• 担当者ごとに責任範囲を明確にする

SNS運用は「思いついた時に投稿する」ではなく、「戦略的にスケジュールを組む」ことが成果の分かれ目になります。

SNSCHOOLでは、企業が自社で運用を回せるよう、スケジュール設計や運用フローづくりに力を入れて支援するようにしています。

タスク管理の仕組み化

複数アカウントを運用している企業では、タスク管理の複雑化が大きな負担になります。
投稿内容の確認・画像作成・承認・投稿予約といった工程が多いほど、担当者間の認識齟齬や進行遅延が起きやすくなります。

この課題に対しては、タスク管理ツールの活用が効果的です。
TimeTreeやTrelloなどのスケジュール管理ツールを使えば、進行状況を可視化でき、リマインド通知で投稿漏れを防止できます。

さらに、複数SNSを一括管理できるツール（例：Buffer、SocialDogなど）を導入すれば、投稿予約や分析までを一元化できます。

ただし、運用規模に見合ったコスト設計が重要です。2〜3アカウント程度であれば無料プランやスプレッドシートでも十分対応可能です。
チーム規模・投稿量・目的に応じて最適な管理方法を選びましょう。

SNSCHOOLでは投稿管理のためのスプレッドシートテンプレートを無料で配布しています。興味がある方はこちらの紹介記事をご覧ください。

SNS投稿管理スプレッドシート完全版（無料テンプレ）チェックすべき3つのポイントも紹介

承認プロセスの明確化

SNS運用では、「承認の遅れ」が最大のボトルネックになることがあります。
上長や他部署の確認が入るたびに修正が発生し、投稿が遅れてしまうとタイムリーな発信ができません。

この問題を防ぐために、承認プロセスをルールとして明文化しましょう。
ポイントは以下の3つです。

• 修正回数の上限を設定する
• 承認期限（例：投稿予定日の2営業日前）を明確にする
• 代理承認者をあらかじめ決めておく

SNSはスピード勝負です。承認ルールを定めておくことで、メンバー全員が同じ基準で動けるようになり、業務効率が飛躍的に向上します。

投稿テンプレートの活用

SNS運用を効率化する上で欠かせないのが「テンプレート化」です。
毎回ゼロから文章や画像を作るのではなく、フォーマットを決めておくことで制作時間を大幅に削減できます。

代表的なテンプレート例は以下の通りです。

• 商品・サービス告知の定型文
• キャンペーンやイベント案内のフォーマット
• よくある質問（FAQ）や問い合わせ対応文
• 季節のご挨拶・トレンド投稿の雛形

テンプレートを使うことで、誰が作っても品質を一定に保ちながら、作業負担を軽減できます。
SNSCHOOLでは、実際に社内運用を支援する際に、ネタ出しやテンプレートシートを活用し、「誰でも運用できる仕組み」を提供しています。

企業のSNS運用で生産性を高める3つのコツ

「毎月のレポート作成に時間がかかる」「数値を追うだけで、チームの動きが鈍っている」──そんな悩みを抱える企業は少なくありません。
SNS運用は情報発信だけでなく、チームマネジメントや業務設計の質にも左右されます。

ここでは、企業のSNS運用体制をより生産的にするための3つの実践ポイントを紹介します。

モチベーションが仕組みをつくる

SNS運用において最も重要な“燃料”は、担当者のモチベーションです。
数字の管理やルールづくりばかりに偏ると、チームが硬直し、結果的に成果が落ちてしまうことがあります。

アメリカの心理学者エドワード・デシ氏の研究では、人の自発性を高めるには「自律性」「有能性」「関係性」の3つの要素が必要とされています。

つまり、「自分で考えて動ける環境」「成長を実感できる仕組み」「仲間とのつながり」が整っていることが、生産性の高い組織づくりの前提条件です。

たとえば、SNS運用代行を手掛ける株式会社サムライトでは、社員が講師となって知識を共有する社内教育制度を導入。受講で単位を獲得でき、その単位数に応じて支援金が得られる仕組みを設けています。

このようにスキルアップを“見える形で評価する”仕組みを作ることで、メンバーの学びや自発的な改善行動が促進されます。

SNS運用においても、

• 分析報告を「数字ではなく気づきを共有する場」として設計する
• 月次ミーティングで成果を「称賛・共有」する文化を作る
  といった工夫で、チームの前向きなエネルギーを維持できます。

コア業務に集中する環境をつくる

SNS運用担当者の多くが時間を取られやすいのが、レポート作成や資料作成などの事務業務です。
これらを自動化・効率化することで、チームはより戦略的・クリエイティブな業務に集中できるようになります。

生産性を高める具体的な工夫として、以下の4つが挙げられます。

• ダッシュボード化による数値のリアルタイム可視化
• レポートテンプレートの統一で毎月の作業を半減
• 重要KPIに絞った分析設計で“見るべき指標”を明確化

SNSCHOOLでは、こうした自動化スクリプトやスプレッドシートの作成支援も行っており、実際にレポート作成工数を70%以上削減した事例もあります。

外部委託を検討する前に、まずは社内での効率化フローを整えることで、運用ノウハウを蓄積しつつコスト最適化を図ることが可能です。

3. ミーティング設計を見直す

SNS運用では、定例ミーティングが多くなりがちですが、目的のない会議は最大の時間ロスになります。
特に「誰も発言しない」「結論が出ない」ミーティングは、心理学でいう**リンゲルマン効果（社会的手抜き）**の典型例です。

チームの時間を無駄にしないために、ミーティングは“会議体のデザイン”から見直しましょう。
ポイントは以下の通りです。

• 時間制限を設け、ダラダラ続けない
• 発言順を事前に決めて、全員が関わる構造にする
• アジェンダ（議題）を事前共有し、目的を明確化する
• 司会・書記・タイムキーパーなどの役割を固定化する

SNS運用チームの目的は「会議をすること」ではなく、「SNSを通じて成果を出すこと」です。
短時間で結論を出し、残りの時間を投稿企画やデータ分析などのコア業務に充てる仕組みづくりが、生産性向上の鍵になります。員が主体的に参加する仕組みづくりにより、質の高い議論が期待できます。

まとめ｜SNS運用体制の成熟度が企業成長を左右する

SNS運用の生産性を高めるためには、個人の努力ではなく「仕組みで回す」ことが重要です。
モチベーションを維持する仕組み、業務を効率化する仕組み、会議を機能させる仕組み──
これらが整ったチームこそ、継続的に成果を出し続けられます。

SNSCHOOLでは、こうした体制構築から運用改善までを一貫して支援しています。
「チーム全体で成果を出せるSNS運用体制を作りたい」という方は、ぜひ下記リンクから資料をダウンロードいただきサービス内容をご覧いただければと思います。